昨年の秋に、あっと驚く逆転の中間判決が出されていた「切り餅」特許権侵害事件だが*1、結局、双方とも振り上げた拳を下ろすことなく、知財高裁の終局判決を迎えることになってしまった。 「切り餅がきれいに焼ける「切り込み」技術に関する特許権を侵害されたとして、越後製菓(新潟県長岡市)が、サトウ食品工業(新潟市)に商品の製造差し止めや59億4千万円の損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決が22日、知的財産高裁であった。飯村敏明裁判長はサトウ食品工業に、製造・販売の禁止と約8億円の賠償を命じた。また、判決確定前でも強制執行ができる仮執行のほか、在庫品、製造装置の廃棄を認めた。」(日本経済新聞2012年3月23日付け朝刊・第46面) 特許権侵害訴訟において、侵害を肯定する結論の中間判決がひとたび出されてしまえば、その審級における手続きとして残されるのは損害論の審理だけで、何らかの理由で「損害がない」という