このところ、若手棋士の躍進や記録更新の話題などがメディアでたびたび紹介され、将棋が一般の人にも身近なものになってきている。その一方、AI(人工知能)を利用した将棋ソフトの進化やネット中継の普及などによって、現在、将棋界は変動のまっただ中にいる。 そして今、将棋の対局に欠かせない「棋譜の記録」をAIで自動化する試みが始まった。トップ棋士のひとりである羽生善治九段に将棋界の現状を、そして日本将棋連盟と共同でAI棋譜記録システムを開発したリコーの開発者には、開発の狙いを聞いた。 AIが人間に近付く一方、人間の思考もAIから影響を受けている 1985年に史上3人目の中学生プロ棋士となって以来、数々のタイトルを獲得し、さまざまな記録を塗り替えてきた羽生善治九段。2017年12月に史上初の永世七冠となり、2018年2月には国民栄誉賞を受賞。2019年6月には、歴代単独1位となる公式戦通算1434勝を達