病気や災害をどうとらえるか 東日本大震災の発災当時、私は週刊新潮という雑誌の記者をしていて、被災地に初めて行ったのは3月18日、岩手県釜石市でした。 その後、4月22日に福島県双葉郡楢葉町で原発作業員を束ねる会社の社長をしているMさんに出会い、3年間毎週のようにMさんやその父親、そして楢葉町で一度も避難をせずに老母の看取りをした伊藤巨子さんに会いに行きました。その時自分が感じたことを著書『境界の町で』にまとめました。 Photo by 岩本室佳 取材をしている最中、私の精神状態は悪化の一途をたどり、2013年には重い抑うつ状態となり、起き上がることも着替えることも食べることもできなくなりました。精神科病院に行った結果、受けたのは「双極性障害」という診断でした。 なぜ病気になったのか。もちろん取材で見聞きした過酷な被災地の状況がストレスになり、それが引き金になった、それもひとつの理由だとは思