私たちが日常的に口にしているトマト。中には「生のトマトは苦手だけれどケチャップなら大丈夫」だという人もいるかもしれない。非常に身近なトマトだが、その背後には恐ろしいほどの闇が見え隠れしている。 『トマト缶の黒い真実』(ジャン=バティスト・マレ著、田中裕子訳、太田出版刊)が取り上げているのはタイトル通りトマト、とりわけ、ケチャップやトマトペースト、カットトマト缶に使われる加工用トマトである。 加工用トマトは、私たちがよく知る生食用トマトの形ではなく、瓜のように細長い。加工しやすいよう改良された品種で、果肉が詰まっており水気も少ない。しかし大抵のトマト缶に描かれているのは大きく丸く、みずみずしいトマトのイラストだ。これは、著者であるジャン=バディスト・マレによれば「人々がトマトに抱くイメージをうまく利用している」ようだ。 「三倍濃縮」のトマトを輸入、「二倍濃縮」に再加工…… 舌鋒鋭い著者の、標