今からさかのぼること約80年前の1918年、あっという間に世界中に広まった謎のインフルエンザ「スペイン風邪」は、1920年までに全世界でおよそ5000万人もの尊い命を奪うほどの猛威をふるった。これが人類に、史上最大規模の被害をもたらせた「パンデミック」(全世界規模の感染の大流行)といわれている。 しかし、「スペイン風邪」は、その猛烈な感染力と強い病原性の正体がまったくつかめずに急速に収束してしまった。その直後から、科学者や研究者たちによる、「謎の正体」の解明への長い挑戦が始まった。 本書は、米国ニューヨークの小学校教師を経て、主に子ども向けの科学ノンフィクション作品を書き続ける著者が、1918年のインフルエンザによるパンデミック、いわゆる「スペイン風邪」について克明に記したもの。あわせて、インフルエンザの謎について研究し続けている科学者たちの、途方もなく長い、そして果てしない闘いを描い