かつて違法薬物の売人であった著者が薬物売買の内幕と、逮捕から更生まで綴った『薬物売人』が5月26日に発売されました。もう二度とあの場所に戻らないための告白の書。人はいかにして薬物に溺れていくのでしょうか? 当人にしか描けない圧倒的ディティールの本書の冒頭をお届けします。 刑事の存在に気づいたのは2週間前 2010年10月10日、俺は逮捕された。 大阪の阪急豊中(とよなか)駅近くのビルに入ろうとしたところを六、七名の刑事に囲まれ、身柄を確保された。ビルには、俺が始めようとしていたダンススタジオが入っていて、まずその中をガサ入れするための令状を目の前にかざされ、何で我々がここに来たか分かるか? と質問された。 だいたい予想はついていた。なぜなら田代(たしろ)が一ヶ月ほど前にパクられたからだ。 そう、俺はあの田代まさしにシャブ(覚醒剤の隠語)、コカイン、大麻を売り捌(さば)いた売人だ。 逮捕状を
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