NHKが受信料をめぐって視聴者に対して起こしていた訴訟の初の憲法判断として注目されていた最高裁判決は、双方の上告棄却という形で終わった。これを「合憲判決」と考えることは法的には間違っていないが、NHKの敗訴という面もある。判決要旨によると、最高裁はこう述べている。 放送法は、受信料の支払義務を、受信設備を設置することのみによって発生させたり、NHKから受信設備設置者への一方的な申込みによって発生させたりするのではなく、受信契約の締結(NHKと受信設備設置者との間の合意)によって発生させることとしたものであることは明らかといえる。 これは契約自由の原則という近代社会の根本原則である。誰かがあなたに「年額1万3000円振り込め」といって請求書を送ってきても、あなたが同意しないと契約は成立しないのだ。では具体的に、どの段階で契約が成立するか。この点について最高裁は、二審の東京高裁判決を支持してい