海外の紛争地などで取材をしてきたジャーナリストの常岡浩介さんが、外務省によるパスポート返納命令と、その後の新たなパスポート発給拒否は違法だとして、パスポートの発給などを求めていた訴訟の判決言い渡しが1月19日、東京地裁(篠田賢治裁判長、渡邉哲裁判官、鈴木真那裁判官)であった。判決は、国側の対応はすべて「適法」とし、常岡さんの請求を退けた。常岡さんは控訴する。 旅券剥奪の経緯 常岡さんは2019年2月、内戦の影響で人々が激しい飢餓状態に陥っていたイエメンの状況を、国境なき医師団と世界食料計画に密着して取材することとし、両団体関係者の了承もとった。ところが、現地に行くために羽田空港でチェックインしようとしたところ、出国手続自動化ゲートを通過できず、入管職員からは「旅券返納命令が出ている」と告げられ、現地に行けなかった。 その後、常岡さんは新たな旅券の発行を申請したが、外務省は常岡さんがトルコや