日本の公的債務は加速度的に膨張を続けており、財政の持続性を回復することは日本の重大な政策課題である。本稿では、日本の財政の持続性についての研究をサーベイし、持続性を回復するためには消費税率を30%程度引き上げるか、100年以上に及ぶ体系的な財政再建計画の実施が必要となることを紹介する。また、公的債務がGDPの90%を超えると経済成長率が1%程度押し下げられるという実証的発見(Public Debt Overhangと呼ばれる)を紹介し、この事実についての経済理論的な説明を考察する。これらの考察から、財政再建により公的債務の持続性を回復することは、長期的な経済成長を高め得ることが示唆される。