進化論といえば、まず問題になるのが、適応とか自然淘汰という概念である。一体誰にとっての適応であり、誰にとっての自然淘汰か。ここでドーキンスは、従来の常識に反し、革命的な主張をする-それは、自己複製子としての資格をもった利己的遺伝子である。その意味では、生物個体はヴィークル(乗物)にすぎない、と。 前著『利己的な遺伝子』で衝撃的なデビューをしたドーキンスは、2作目の今回の本でさらに自らの立場を拡大・深化させ、利己的遺伝子から見た生命像、進化像、世界像を展開する。前著に劣らず刺激的かつ挑発的な内容で、一見突飛な発想が実に説得力をもって語られる。生物学や進化論の最前線のトピックも巧みに料理され、生物進化の見方にパラダイム変換を要求する。 またこの本は、社会生物学論争で批判の矢面に立たされた著者の反批判の書でもある。 知的興奮を呼び起こすスリリングな科学読物。 訳=日高敏隆・遠藤彰・遠藤知二 感想
『つきあい方の科学』(The Evolution of Cooperation)とは1984年にアメリカの政治学者ロバート・アクセルロッドによって書かれたゲーム理論の研究である。 概要[編集] 1943年に生まれたアクセルロッドは数学をシカゴ大学で専攻した後にイェール大学で博士号を取得し、カリフォルニア大学で研究を行っている。この著作はゲーム理論を駆使した人間の協調行動についての研究であり、利己的な人間であっても協調関係が成立することがありうるのかを検討している。また囚人のジレンマの問題について複数の戦略をプログラムとして募集し、総当りでどの戦略が有効かを検討した結果についても触れられている。本書の章立ては第1部序論、第2部協調関係の出現、第3部親交も先行きの見通しもない協調関係、第4章当事者と調停者へのアドバイス、第5章結論から成り立っている。 本書で取り上げられている問題は協調関係が出
原文はこちら、(c) Copyright JASSS アクセルロッド『対立と協調の科学』書評:「しっぺ返し」はそんなにすごいものではありません Ken Binmore ELSE, Economics Department, University College London. (1998, JASSS vol 1, no 1.) 要約:ゲーム理論の偉い人、ビンモアによるアクセルロッド&「しっぺ返し戦略」称揚に対する強い批判。アクセルロッドは前著『つきあい方の科学』で反復型囚人のジレンマゲームのコンテストを開催し、ラポポートの「しっぺ返し」戦略がもっとも有力だった(そしてそれを進化型ゲームに適用しても有力だった)ということを根拠に、しっぺ返しがあらゆる協力の発生と成長の根幹となる原理だ、といわんばかりの主張を行い、それが一人歩きしている。でもこれが成功するのはごく一部の状況で、安易に一般化で
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