_ 靴磨きはどこへ行ったのか おれの爺さんは復員して来てからしばらくの間は、虎ノ門の靴磨きの親分のところで靴磨きをしていたそうだ。 虎ノ門といえばアメリカ大使館があるから、おそらくそのあたりでは靴磨きの需要があったのだろう。 その後はそれなりに元手ができたこともあり、皮革繋がりで別の業界へ進むことになったのだが、そのあたりの物語は今になって思えばえらく面白そうだが、関係者がほとんど鬼籍に入った今となっては後の祭りの笛太鼓だ。 というわけで、子供の頃、母親(爺さん直伝)から靴磨きの仕方を教わり、それで父親の靴を磨いていたものだ。まず、靴墨をブラシにちょいと付けてブラシングする。伸ばしながらブラシングする。靴墨は最初に付けたチョイだけで充分だから、それを良く伸ばしながらとにかくブラシング。で、さらにブラシングして終わり。ムラがあったりして必要があれば仕上げにボロ布でちょっと磨くとなおよい。 で