もちろん、私たちロシア人のすべてがフョードル・ドストエフスキーを嫌っているわけではない。彼は、レフ・トルストイとならぶ19世紀ロシアの文豪だ。だが彼の作品は、その故郷ではいまだに毀誉褒貶にさらされ続けている。理由は次の通りだ。 「私は過去3ヶ月間にドストエフスキーの作品をぜんぶまとめて読み返した。でも私は、この男に対してほとんど肉体的な嫌悪を感じるだけだ」。現代ロシアのリベラル派の有力政治家、アナトリー・チュバイスは、2004年のフィナンシャル・タイムズへのインタビューでこう語った。 チュバイスは、作家の「特別な聖なる民族としてのロシア人、苦しみの崇拝、そして彼が提示する誤った選択」を槍玉に挙げ、「ドストエフスキーを八つ裂きにしても飽き足らないほど」と、冗談めかしながらも決めつけた。 チュバイスは無論、すべてのロシア人を代弁して話しているわけではない。だが彼は、ドストエフスキーを有害で危険
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