正解なき問いと赤ちゃんを抱いて、作家・大田ステファニー歓人が作品に込める静かな決意 Culture BREAKING2024 Featured 2024.07.26 写真:後藤武浩 文:今泉愛子 『みどりいせき』で第47回すばる文学賞を受賞した大田ステファニー歓人は、2023年12月に開催された授賞式で自作の詩を朗読した。自身を「うち」と呼び、妻のこと、翌年生まれる子どものこと、ガザの惨状について、ラップのように韻を踏みながら語る大田の姿は、小説家という型にはまらないという決意を感じさせるものだった。 大田の姿勢に反応するかのように、『みどりいせき』の反響が広がっている。今年5月には三島由紀夫賞も受賞した。決して読みやすい小説ではないが、ペニー、フォグる、キャパい、と高校生たちの隠語を駆使した口語体で、独自の世界へと誘い込む。この小説はどうやって生まれたのか。そして大田ステファニー歓人はど