和歌山毒物カレー事件の犯人として死刑判決が確定した林眞須美の家族を描くドキュメンタリー映画である。 最初に、和歌山毒物カレー事件についてのワタシ自身の考えを書いておく。事件が起こった当時ワタシは二十代半ばだったが、今と比べてはるかに長い時間テレビを見ていた。その影響もあり、当時は林眞須美がやったに決まっていると思っていた。その後、ぽつぽつとこの事件についての情報を後付けで知るにつけ、今では林眞須美が犯人とは言えない、というところまできている。 そして、ここからが重要なのだが、たとえ彼女が犯人だったとしても無罪判決が下るべきだったと裁判当時から思っていたし、そう人に言ってきた。動機も解明されておらず、もちろん自供もとれていない、裁判で認定された目撃証言も林眞須美の犯行を裏付けるものではまったくない、つまり、決定的な目撃証言はない。とてもではないが、検察の論証は人を死刑にするレベルには到底思え