安倍晋三政権は「女性の活躍」を成長戦略の柱に据え、安倍首相は「すべての女性が輝く社会」を連呼している。そのため、安倍が男女共同参画やジェンダー平等に熱心だと思っている読者もいるだろう。他方、安倍のいっていることはポーズに過ぎないという見方もある。特に、政権初期に「3歳まで抱っこし放題」を打ち出したためか、本音は「女性は家庭へ帰れ」だという見方もある。第一次政権発足前には、「ジェンダーフリー」を攻撃するバックラッシュ運動に関与し、男女共同参画社会基本法を根本的に考え直す必要を語っていた安倍が、まさか女性の活躍とは、というわけである。本稿では、安倍政権の女性関連政策の検討を通じ、こうした対極的な見方が生まれる背景を解き明かしていきたい。筆者は既に、安倍政権の女性政策について検討を行っているが(注1)、本稿ではその後に出た「1億総活躍」関連の文書についても検討を加える。 (注1)紙幅の関係で、本