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ブックマーク / huyukiitoichi.hatenadiary.jp (9)

  • 友好的なヒトが自然淘汰で残ったからこそ、いまのヒトが存在する──『ヒトは〈家畜化〉して進化した―私たちはなぜ寛容で残酷な生き物になったのか』 - 基本読書

    ヒトは〈家畜化〉して進化した―私たちはなぜ寛容で残酷な生き物になったのか 作者:ブライアン・ヘア,ヴァネッサ・ウッズ白揚社Amazon近年、人類史を通して、年々暴力が少なくなっていることを示したピンカーの『暴力の人類史』や、人間の質は利他的であると多くの類例を通して論じてみせたブレグマンの『Humankind 希望の歴史』のように「人間は想像以上に他の人間にたいして優しく、寛容な存在となりつつある」ことを示すがよく出ている。 書『ヒトは〈家畜化〉して進化した』は、(その善性のみを扱っているわけではなく、裏表で発露される暴力性にも触れているが)そうした説にたいして、進化人類学、認知神経科学方面からのアプローチをまとめた一冊になる。進化人類学者で動物の認知調査で知られる著者によれば、ヒトは「自己家畜化」することで友好的になり、見知らぬ他者と強調する能力を手に入れることができた。そして、そ

    友好的なヒトが自然淘汰で残ったからこそ、いまのヒトが存在する──『ヒトは〈家畜化〉して進化した―私たちはなぜ寛容で残酷な生き物になったのか』 - 基本読書
    takashi1982
    takashi1982 2022/06/17
    面白い。
  • リバタリアンが集まる町を作ったら、そこは熊の巣窟になった──『リバタリアンが社会実験してみた町の話:自由至上主義者のユートピアは実現できたのか』 - 基本読書

    リバタリアンが社会実験してみた町の話:自由至上主義者のユートピアは実現できたのか 作者:マシュー・ホンゴルツ・ヘトリング原書房Amazon はじめに どのように人々は集まってきたのか? 自由な町にヤバいやつらが集まってくる。 リバタリアンらは町を良い方向に変えたのか? おわりに はじめに 他者の身体や私的財産を侵害しない限り、各人が望むすべての行動は自由であると主張する、リバタリアンと呼ばれる人たちがいる。すべてを自由にすべきと考える原理的な人から、条件的に制約を認める人まで無数の思想的内実があるわけだが、そうした思想を持つ人々にとっては多くの国家・地域は制約だらけにみえるだろう。 自分たちの思想を社会に反映させるためには、民主主義の場合にはリバタリアン的思想を持つ候補者に票を投じたり、自分自身が立候補して国の方針を地道に変えていかなければいけないわけだが、それは当然ながらなかなかに大変な

    リバタリアンが集まる町を作ったら、そこは熊の巣窟になった──『リバタリアンが社会実験してみた町の話:自由至上主義者のユートピアは実現できたのか』 - 基本読書
    takashi1982
    takashi1982 2022/02/27
    “当然だが、グラフトンの公共サービスは穴だらけになり、社会には停滞感が広まっていく。”ノージック的には必要であれば各人がサービスを民間業者から買えば良い、だけれど治安も道路もゴミ、水道も提供されまい。
  • 格差から経済の長期停滞まで、現代経済の様相の原因を無形資産で説明する──『無形資産が経済を支配する: 資本のない資本主義の正体』 - 基本読書

    無形資産が経済を支配する: 資のない資主義の正体 作者:ジョナサン ハスケル,スティアン ウェストレイク出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2020/01/17メディア: 単行無形資産とは、文字通り「無形」、つまり形がない資産のことである。ゲームやwebサイトに代表されるようなソフトウェアは無形資産の最たるものだが、たとえば店舗のある販売型ビジネス(スターバックスとか)でも、販売の効率化、仕組み化、教育などを行っている場合、それらも(書においては)無形資産のうちに数えられる。 書は、そうした無形資産が経済を支配するほどに大きな存在になってきた現代の解説の書である。とはいえ、無形資産代表格であるソフトウェアが40年伸びているわけで、今さらそれが経済を支配するとか言われても当たり前じゃね?? と疑問を抱えながら読み始めていたのだけれども、いやはやこれがどうしておもしろい。無形

    格差から経済の長期停滞まで、現代経済の様相の原因を無形資産で説明する──『無形資産が経済を支配する: 資本のない資本主義の正体』 - 基本読書
  • 科学的で現代的な「人を動かす」──『事実はなぜ人の意見を変えられないのか-説得力と影響力の科学』 - 基本読書

    事実はなぜ人の意見を変えられないのか-説得力と影響力の科学 作者: ターリシャーロット,上原直子出版社/メーカー: 白揚社発売日: 2019/08/11メディア: 単行この商品を含むブログを見る事実では人の行動は変わらないという。議論をしたときに「これこれこういう事実がある」という主張をしても相手の意見が変えられなかった、ということは多かれ少なかれみな体験しているものではないだろうか。たとえば、アメリカではワクチンを摂取することで知的障害などが発生するリスクがあるというデマが拡散して、そのせいで百日咳やおたふく風邪が今更蔓延するというアホくさい状況が発生している。 ワクチンによって知的障害リスクが上がるのは完全にデマなので、科学的な事実の啓蒙を行えばいいでしょ、と思うかもしれないが、実はこれには全然効果がないのである。ある実験では反ワクチン思想を持つ親を集め、麻疹にかかった子どもの痛まし

    科学的で現代的な「人を動かす」──『事実はなぜ人の意見を変えられないのか-説得力と影響力の科学』 - 基本読書
  • 何でも治ることを売りにした最悪の治療法の歴史──『世にも危険な医療の世界史』 - 基本読書

    世にも危険な医療の世界史 作者: リディアケイン,ネイトピーダーセン,Lydia Kang,Nate Pedersen,福井久美子出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2019/04/18メディア: 単行この商品を含むブログを見る現代でもインチキ医療、危険な医療はいくらでも見つけることができるが、過去の医療の多くは現代の比ではなくに危険で、同時に無理解の上に成り立っていた! 書『世にも危険な医療の世界史』はそんな危険な医療史を、元素(水銀、ヒ素、金など)、植物と土(アヘン、タバコ、コカインなど)、器具(瀉血、ロボトミー、浣腸など)、動物(ヒル、人、セックスなど)、神秘的な力(電気、動物磁気、ローヤルタッチ)の五種に分類して、語り倒した一冊である。 実のところ、このは何でも治ることを売りにした最悪の治療法の歴史を、簡潔にまとめたものだ。言うまでもなく、「最悪の治療法」は今後も生み出さ

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  • 欠陥まみれのGDP──『幻想の経済成長』

    幻想の経済成長 作者: デイヴィッドピリング,David Pilling,仲達志出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/03/20メディア: 単行(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る一般的に経済成長はいいものだとされる。経済成長の計測については国内総生産、GDPの値に基づいて決められる。それが伸びていれば皆の生活は豊かになるし、伸びていなければウーン、いまいちだなということになるわけで、非常にわかりやすいといえばわかりやすいからここまで使われている。でも、その「成長」の判断に使われているGDPって欠陥まみれじゃね? つまるところそのGDPによってたつ「経済成長」を盲信する意味なんてなくね? と問題提起を呼び起こす一冊である。 実際問題GDPは正しい経済の実態を表しているものではない(とはいえ、そんなことはどのような手段を用いてであれ不可能だ)。金銭のやりとりが発生しない取引

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  • 社会科学者らが立ち向かう困難──『歴史は実験できるのか 自然実験が解き明かす人類史』 - 基本読書

    歴史は実験できるのか――自然実験が解き明かす人類史 作者: ジャレド・ダイアモンド,Jared Diamond,ジェイムズ・A・ロビンソン,James A. Robinson,小坂恵理出版社/メーカー: 慶應義塾大学出版会発売日: 2018/06/06メディア: 単行この商品を含むブログ (2件) を見る科学において実験というのは重要な手順だが、そうはいっても実験できない領域というのもまた存在する。進化生物学、古生物学、地史学、歴史など、すでに起こってしまって大規模な再現が不可能である場合があるからだ。また、現代の歴史学者は経済発展について知りたければパソコンで調べればGDPなどのデータが手に入るが、18世紀の経済発展について知りたくてもデータがないのでそうはいかない。 そのような学問領域では、現実に発生していた、多くの部分が似通っているが一部が異なったシステム同士を量的に比較・分析する

    社会科学者らが立ち向かう困難──『歴史は実験できるのか 自然実験が解き明かす人類史』 - 基本読書
  • トマ・ピケティ絶賛の"長篇小説"──『貧困の発明 経済学者の哀れな生活』 - 基本読書

    貧困の発明 経済学者の哀れな生活タンクレード ヴォワチュリエ,Tancrede Voituriez 早川書房 2017-02-23 AmazonKindle ピケティ絶賛と煽り文句のついている「貧困の発明」っておもしろそうな経済ノンフィクションだな〜〜と思ってよくみたら"長篇小説"であった。とはいえピケティが帯でファンタジィを絶賛することもないだろうから──と読んでみたら、書は確かに経済に関連する小説作品ではあり、これがなかなかおもしろかった。 端的に紹介すれば、国連のプロジェクトにも関わる現役の経済学者が、貧困撲滅事業や国家的経済プロジェクトがいかにぐだぐだで、嘘と欲望にまみれ適当に運営されているのかを暴き出すブラック・ユーモアに満ちた風刺小説である。あくまでも"フィクション"であるとはいえ、著者の経歴を考えれば見聞きしてきたことが大いに反映されているのは間違いない。いわゆる普通の

    トマ・ピケティ絶賛の"長篇小説"──『貧困の発明 経済学者の哀れな生活』 - 基本読書
  • 合理的理由でもって削がれてゆく耳鼻──『耳鼻削ぎの日本史』 - 基本読書

    世界の辺境とハードボイルド室町時代 作者: 高野秀行,清水克行出版社/メーカー: 集英社インターナショナル発売日: 2015/08/26メディア: 単行(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る世界の辺境と中世日ってよく似てるよねというシンプルな着想から始まった高野秀行さんと清水克行さんの対談集『世界の辺境とハードボイルド室町時代』がめっぽう面白かったので、読んでいなかった清水克行さんのに手を出してみた。清水克行さんは日中世史、社会史を専門とする職の学者だが、書や『喧嘩両成敗の誕生』のように一般向けノンフィクションも多数手がけている。耳鼻削ぎの日史 (歴史新書y) 作者: 清水克行出版社/メーカー: 洋泉社発売日: 2015/06/04メディア: 新書この商品を含むブログ (3件) を見る『耳鼻削ぎの日史』は、かつて日には「耳鼻削ぎ」を行う文化があったのか、あったとして、

    合理的理由でもって削がれてゆく耳鼻──『耳鼻削ぎの日本史』 - 基本読書
    takashi1982
    takashi1982 2015/09/02
    タリバンも同じようにな刑罰を実施していた(している)のを見るに、文化人類学的考察があるとさらに面白いと思うんだけど、そういうのはあるのだろうか?
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