山形浩生の喋(しゃべ)る姿というのは、テレビやYouTubeではあまり見たことがない。最近はラジオのコメンテーターもされているから声は知っている。そんな相手が、目の前で楽しそうに喋っている。会うことなんてないだろうと思っていただけに、僕はフワフワとした現実感のない、けれどインタビューを成立させるために必死な様相で会話を続けていた。 山形といえば毒舌の書評が有名なのだが、目の前にするととても優しそうな、そして真面目な人だ。ユーモアも彼のブログで目にするそれと変わらなくて、会話の途中でしょっちゅう笑いが起きる。僕にとっては想像通りの格好のよい著作家であった。 しかし、まだインターネットの話も、経済の話も聞いていない。時間は半分以上過ぎている。どの話も中途半端に切りたくはない。そんな緊張感を持ちながら、就職後の話を聞いた。 大学院での研究が発端になって、野村総合研究所への就職を選んだ山形。修士研
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