法律と現実との大きなギャップ 実はPKO法は、PKOだけでなく、人道救援、選挙監視、物資協力を行う際の根拠法になる。それらの分野の活動実績は、PKOに対する従事よりも、豊富である。 つまりPKO法の中核であるPKOを通じた国際平和協力は、必ずしも最も頻繁に行われているというわけではない。 PKO法を通じて自衛隊の部隊派遣がなされたのは、1990年代初頭のカンボジア、2000年代の東ティモール、2010年代のハイチおよび南スーダンだけである(なおイラクへの派遣は「イラク特措法」にもとづくものであり、イラクに自衛隊が駐留した間、PKO法を通じた自衛隊の派遣はむしろ回避されていた)。 なぜPKOへの従事が限定的なのかと言えば、もちろんそれはPKO分野において法律と現実とのギャップが大きく、派遣が難しいからである。 このギャップは、PKO参加五原則を南スーダンのような国に適用することの困難という形