39歳、年収800万円、普通の会社員に10億円の税金が降りかかってきた。競馬は秋のGIシーズンが佳境を迎えている中で、競馬で1億5500万円を稼いだ男性が大阪国税局から配当の合計30億円分を課税対象とされ、所得税法違反で大阪地検に起訴されるという騒動が起きている。現在大阪地裁で公判が進行中だが、競馬とは縁のない人でも理不尽極まりない、と考えている人が多いことだろう。まさしく徴税権を持った「権力」の怖さを思い知らせるものだ。 「ひじょうに理不尽だ」 「非常に理不尽であり、国税当局、検察当局の主張は間違っていると考えています。特に、本件で刑事起訴までしたことについては、事案の実質をみておらず、法律家としてのセンスを疑うとしかいいようがありません」 男性の代理人である中村和洋弁護士が、このような見解を発表した。「理不尽」「センスを疑う」とはどういうことなのだろうか。まずは事のあらましを振り返る。