現在の先進国における経済的なアキレス腱は「年金と医療を含めた福祉制度」でしょう。これは第二次大戦後、飛躍的に進歩した医療科学のもたらす副作用であります。これは年金制度を設定した当時の平均寿命年数よりも、現在社会における平均生存年数が驚異的に長期化した結果でしょう。 いつも詳細で示唆に富む論文を発表されている早稲田大学教授野口 悠紀雄氏の最新の論文「破綻確実の年金が清算できない理由は、国の財政赤字さえ超える年金債務のため」がインターネット上で発表されました。この問題は、専門家の間ではよく知られた問題でありますが、正確な数字を把握されているという意味で、この論文はまことに貴重な貢献と言えましょう。ここで問題になるのは、その結論であります。 現在の国家債務総額は905兆円、これにたいして債権が400兆円程度と推計されています。したがって、純国家債務額は約500兆円になります。野口氏の推計によれば