瀬川 明秀 日経ビジネス副編集長 日経ビジネス、日経ベンチャー、日経ビジネスアソシエなどを経て、日経ビジネスオンライン開設後はオンライン編集がメインの業務。2012年からは日経BPビジョナリー経営研究所の研究員を兼務。 この著者の記事を見る
独フォルクスワーゲン(VW)の新型「ゴルフ」が「日本カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した。同賞34年の歴史で、日本の自動車メーカーを押しのけて輸入車が受賞するのは初めてだ。受賞効果も手伝い、11月のゴルフの国内販売は2418台と過去最高を記録した。 ゴルフは、1974年の発売以来、世界で累計3000万台以上を販売してきた大衆車。欧州では小型車の品質や性能を評価する上で「ベンチマーク」とされてきたクルマである。日本カー・オブ・ザ・イヤーの受賞理由には、「“MQB”というモジュールによる新たな開発手法を採用」という点が真っ先に挙げられている。 「MQB」とは、クルマの各機能や部位を構成する部品の集まりを「モジュール」と定義し、そのモジュールをブロックのように組み合わせてクルマを作る手法のこと。世界最大の自動車メーカーになることを目指すVWが、目標を達成するための切り札としてグループを挙げて推進し
女性がメークアップで美しくなるためには、何重もの難関を乗り越えなければならない。まず、顔立ち。それが美しければ大抵の問題は解決するだろう。だが、それがダメなら、次は化粧の技がある。メークアップのいかんによって、顔立ちの目立たない女性でも奥行きのある美しさが添えられたり、反対にどんなに美しい人もイヤミに見えたり、時代遅れに見えたりするものだ。 ボビー・ブラウンは、金髪に白い肌、飛び出すような目立った色のメークアップが主流だった時代に、そのままの唇の美しさを活かす自然な色の口紅で世の女性の支持を得た。「こういうスタイルが美しい」という不動の定型があった世界に、それとはまったく別の価値観を、口紅という小さなところから打ち立ててみせたのだ。 ブラウンは、小さい頃から自分の外見に劣等感を抱いていたという。身長は152センチほどと低い。金髪とはほど遠い暗い茶色の髪と浅黒い肌、そして目の色も暗い。第一印
ケイティー・クーリックは、「アメリカのスイートパイ」と呼ばれている。スイートパイとは、「可愛い子ちゃん」とでも訳せるだろうか。アメリカ国民みなから愛される人物という意味だ。 50代半ばの女性をつかまえて「可愛い子ちゃん」もあるまいと思うのだが、クーリックには確かにそんなイメージがある。クーリックは、今やアメリカでもっとも有名な女性テレビ・ホストでありながら、声高に叫ぶうるさいところもなく、ジャーナリスト的な堅苦しいところもなく、セレブ然とした臭さもない。もちろん、可愛い子ぶっているところはまったくない。開けっぴろげでストレートで、あっさりした性格。そんなところが好感度を高めているのだろう。 クーリックのテレビ・ジャーナリストの経歴はざっと見るだけでもその華々しさが分かる。 クーリックは、女性として初めてアメリカの三大ネットワークすべてでニュース番組のアンカーを務め、また女性として初めて夕方
米IBMと言えば、米国を代表する企業。そして、現在アメリカを牽引するテクノロジー産業の歴史を作ってきた企業だ。メーンフレーム・コンピュータの時代からパーソナル・コンピュータへ、そして現在は企業向けソフトウェアやソリューションを提供する企業へ。業態は大きく変わったが、IBMが世界中にその名をとどろかせる「巨人」である事実は変わらない。 バージニア(ジニ)・ロメッティが、創業102年を迎えるIBMの最初の女性CEOに就任したのは2年前のことだ。テクノロジー業界の中でもそれほど名前が知られていなかったロメッティは、これによって、いきなりアメリカ産業の筋力を象徴するようなポストに置かれた。フォーチュン誌の「アメリカのビジネスで最強の女性」で1位にランクされ、否応にもその実力を見せ続けなければならない存在だ。 ロメッティは硬直したIBMという大企業を、迅速に変化できる存在へと改造している最中だ。 「
40代が、喘いでいる、っぽい。 「っぽい」とは妙な表現だし、使い方が間違っているかもしれないが、「喘いでいるっぽい」のだから仕方がない。当の本人たちは決して自分から、「喘いでいる」とは言わないし、息もできないほど苦しくて、今にも押しつぶされてしまいそうなほどの切迫感は見受けられない。 「キャリア・プラトー」とか、「ミッドライフクライシス」とか、「思秋期」とは少し違う。スペシャリストのように特技を持たないゼネラリストやホワイトカラーの賞味期限が切れそうな時代にたたずむ、あいまいな不安とでも言うのだろうか。 そんな状態に、喘いでいるっぽい、ミドルたちが増えている。 「いい転職先が見つかれば、早期退職してもいいなぁと思っている。まぁ、定年延長されたんで、いようと思えば65歳まではいることができますから」 彼らは必ずと言っていいほど、「いようと思えば65歳までいられる」と話す。 しかも「喘いでいる
「予算がないから、やめておこう」「時間がないから、やめておこう」という決定をしていないでしょうか。予算や時間のあるなしで、モノ・ゴトを決定するのは、戦略的ではありません。管理的です。予算と時間が無くなった時点で、活動停止となるだけです。 今の時代、いかに戦略的な決定ができるかどうかが、企業存続の鍵となります。今回は、その決定を論理的に説明したいと思います。決定には5つのパターンのどれかに当てはまることになります。それが判れば、戦略的な決定ができるようになるのです。 価値で決定する 決定は、価値から行うべきです。「価値」という概念は、人によっていろいろとあります。ここでは、ビジネスとして「GO」か「NO」かを区別する概念とします。つまり、決定者が考える総合的な判定の指標となるものです。それが、コストのみでないことは、あきらかです。リターンとともに判断されるモノであるはずです。 もちろん、コス
「文系の保護者の方はこちらですよー」 「理系はこちらです!」 「今、順番にご案内いたしますので、列にお並びになってお待ちください!」 今年10月のある晴れた土曜日、私は娘の通う大学に足を運んだ。娘はある私立大学の3年生。そう、現役の就活生である。その日は大学で就活生の保護者のための就職懇談会が開催されたのだ。行ってみて驚いた。 会場までは保護者で長蛇の列ができており、1000人以上を収容するホールは、2階席までぎっしり埋まっていた。その模様をライブ中継し、別会場で見ている保護者もいるとのこと。主催者側が冒頭の挨拶で、その説明会には2000人もの保護者が参加していると説明した。就職指導が熱心なことで有名なその大学でも、過去最高の人数だという。 今、大学生の就活が本格的にスタートするのは、学部生であれば、3年(大学院の場合は1年)の12月である。2014年の春に卒業予定の今の3年生の就活も、あ
物事に大きな影響を与える前提なのに案外知られていない。その一つがコンピュータソフトウエア投資とソフト開発技術者の所属先に関する日米の差である。 日本企業は自社で利用するソフトのほとんどをIT(情報技術)企業に開発させているのに対し、米国企業はソフトを内製する比率が高い。 日本のソフト開発技術者の大半はIT企業に所属するが、米国のソフト開発技術者の大半はIT企業ではなく一般企業に所属している。 上記二つの文は同じことを言っている。日本企業は社内にソフト開発技術者をあまり抱えていないためIT企業に外注するが、米国企業は社内にソフト開発技術者がおり内製できる。 「ほとんど」「高い」「大半」では曖昧なので数字を補足する。米国商務省経済分析局の数字によると、2010年の米国民間企業におけるソフトウエア投資の内訳は、内製(自社開発)が37.3%、外注(他社委託)が34.2%、パッケージソフト購入が28
さて、お休み中、いつもより少しばかり時間ができたので、フィールドインタビューに精を出していたのだが、その中で気になったことを今回は取り上げようと思う。 テーマは、「年功序列」。終身雇用と同様、高度成長期の置き土産でもある年功序列は、既に崩壊している。今ではほとんどの会社で成果主義や早期退職制度を導入しているし、年齢が上というだけで昇進できるほど甘い時代は過去のものとなりつつある。 年齢に関係なく若手にチャンスを与える企業は多いし、部下が上司になることも珍しくない。 だが、完全に崩壊したか? というと、答えはノー。もちろん若い会社、従業員の平均年齢が比較的低い会社ではイエスかもしれない。だが、全体的に見れば、いわば移行期、だ。 経団連が定昇の見直しへ そんな状況に30代の社員たちは、 ・なぜ、たいしたこともやっていないのに、たまたま先に入社したというだけで役職に就けるのか? ・なぜ、何もやっ
「部下の『モチベーション』を上げるにはどうすればいいのか分からない」 「『やらされ感』を覚えさせずに社員の行動を変えるために、どのような『動機付け』が必要なのか。そこを知りたい」 モチベーションについて悩む経営者やマネジャーは大変多い。私は営業のコンサルタントをするかたわら、年間100回以上の講演やセミナーをこなし、年間5000人以上の経営者やマネジャーの方々に話をしている。その際、受講者にアンケートを取り、悩みを伺うと、モチベーションがダントツに多く、冒頭に紹介したようなコメントを書いてこられる。 今、このコラムを読んでいる方の中にも、「思うように部下が自発的な行動を見せない」、「当事者意識が欠けている」、「危機感が感じられない」といった悩みを抱えている人がおられるだろう。 現場の社員も同様だ。次のような、ぼやきをしばしば耳にする。 「同期がまた辞めた。こんな会社にいてもモチベーションが
トップセールスという言葉があるように、米企業の経営トップは時折顧客を訪問し自社の製品やサービスを自ら売り込む。CEO(最高経営責任者)はもちろん「C」が付く経営幹部はたいてい営業ができるものだ。日本企業もトップセールスという言葉を使うことがあるが実態は大きく異なる。 米企業の経営トップが来日して日本の顧客を訪問しようとした時、日米の違いが際立つ。米企業のトップは日程で空いている時間帯があると「重要な商談はないか。セールスに行こう」と言い出す。 ところが米企業の日本法人が難色を示す。「先方の社長の日程が合わない」「あの案件は足を運んでいただくところまで進んでいない」。四の五の言っていると親会社のトップから「やる気があるのか」と雷を落とされることもある。 「あの無能な人物は本当に社長なのか」 日本法人が嫌がる理由はいくつかある。まずは日本の顧客がトップセールスを受け入れないことだ。重要な商談で
7月19日に電子書籍端末「kobo touch(コボタッチ)」を発売した楽天。7980円と破格の価格を設定し、テレビCMを含む大々的なプロモーションを展開した。しかし、初日から「初期設定ができない」「アプリケーションが動かない」「英語と日本語の書籍が混じっている」など、様々な苦情が殺到。同社は急遽、サポート人員を増強し、対応時間を24時間に拡大するなど、事態の収拾に追われた。 「読書革命」を謳い、成功を疑わなかった楽天の三木谷浩史会長兼社長は今、何を想うのか。単独インタビューで語った。 ――色々トラブルが起きましたが現状は。 三木谷:いや、いいですよ。初期設定の問題で細かいトラブルはあったけど、2日以内に解消できたし、コールセンターも24時間対応にしたし。アクティベーション(利用できる状況にセットアップすること)した人が購入者全体の95%を超えていますからね。そして、何よりコンテンツが売れ
気になる記事をスクラップできます。保存した記事は、マイページでスマホ、タブレットからでもご確認頂けます。※会員限定 無料会員登録 詳細 | ログイン 「デルの悲劇」をご存じでしょうか。自分の好みに応じて仕様を変更でき、注文を受けてから製造するBTO(Build to Order:受注生産方式)で勢力を伸ばした直販のパソコンメーカー、米デル。日本では1993年からパソコンの販売を開始しました。私が以前に在籍した日経パソコンでは1999年から2006年までの間、毎年の恒例企画として「サポートランキング」特集を掲載していましたが、デルは2003年で総合1位に輝きました。しかし、2年後の2005年には突如、最下位に転落してしまったのです。 従来、デルは企業向け販売やビジネスパーソンを対象に販売台数を伸ばしていました。しかし、販売台数拡大を追うデルはNECや富士通といった日本メーカーが得意だった個人
気になる記事をスクラップできます。保存した記事は、マイページでスマホ、タブレットからでもご確認頂けます。※会員限定 無料会員登録 詳細 | ログイン 米カリフォルニア州ロサンゼルス。街のダウンタウン地区では、失業率が12%を突破している。そして、米国版ハローワーク、「EDD(Employment Development Department)」のオフィスは、「何でもいいから仕事がほしい」という人々で、毎日溢れかえっていた。 日本のハローワークのように、失業保険申請と職業斡旋の行政サービスが受けられる。そして、オフィスの片隅には、求人広告がびっしりと貼られていた。 ファストフード店の調理、ビル清掃、歯科助手...。手軽に始められる職業がずらりと並んでいる。どれも時給8~10ドルという最低賃金に近い仕事ばかりだ。保険や年金、退職金などは支給されない。 そうした中で、ひときわ目を引く求人広告があ
紀元前3世紀、秦の始皇帝はその絶大な権力をもって不老不死を追い求めたが、結局49歳で死んだ。中世ヨーロッパで盛んだった錬金術も、究極の目的は不老不死だったという。長い間、死は身近でありながら人間にはなすすべのない怖れの対象であった。東大寺の大仏を建立しようと、国を挙げての加持祈祷をしようと疫病は起こり続け、ひとたび天然痘が流行すると天皇も貴族も庶民も、身分に関係なくあっけなく死んだ。長い人類史を俯瞰すれば、狩猟採集社会から農耕社会に移行して以来、社会における経済格差は広がり続けてきたが、死や病に関する格差は、近代に入るまでほぼ皆無であった。 「富裕層は明るく、よく眠り、転びにくい」 今日、「健康格差」に関する研究が進んでいる。30年に及ぶ研究の蓄積の結果明らかになってきたことは、「豊かな人ほど健康で長生きする」という傾向である。この統計上の相関は「健康格差」と呼ばれ、世界各地で年齢性別を超
また、新入社員が辞めてしまった。これで4人目である。といっても、私の部下の話ではない(っていうか、部下いないし…)。わずか1カ月ちょっとの間に、「新人が辞めた」という話を4回も聞いてしまったのである。 1人目は、インタビューをさせていただいた方の会社で起こった出来事で、入社1週間目に「体調が悪い」と言ってきた後、連絡が途絶えて辞めた。2人目は旅行代理店に勤める友人の部署に配属になった新人が、「自分にこの仕事は合っていない」と言って、2週間目に辞表を出した。3人目は、以前仕事でお世話になった方の会社の出来事で、母親から「息子が思っていたような仕事ではないので、辞めてさせてください」と連絡があって、去っていった。 そして、昨日4人目が現れた。 「4月から25歳の男性を正社員で雇ったんですけど、『この職場では僕の個性が潰されるから辞めたい』と言ってきました。彼はうちの会社に来る前に、1年ほど別の
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