サトウタツヤ 立命館大学文学部(心理学専攻)教授。 **周年の記念はいろいろありえますが,やはり100年は1つの節目。また,100年の時を超えてなされる独日翻訳は一種の文化事業だといえるでしょう。 100年の時を経て翻訳された本があります。これを契機に「温故知新」的な出版が増えることを期待します。1907年といえば明治40年ですから,明治時代に出版された日本の心理学者の本や論文の復刻も望みたいところです。 賢い馬,利口な馬,ハンス。心理学を勉強した人であれば誰でも一度は耳にした名前だと思います。ある本によれば,心理学で有名になるには優れた研究をするか被験体になることだそうです(研究者の名前は忘れてもハンスの名前は知っているという意味です)。 では,そのハンスは何をしたのでしょうか。簡単にいえば計算ができた,ということです。犬であれば,「0+1は?」と聞かれてワン!と正答できるでしょうが,馬