「……お姉ちゃん、どうしよう、熱、全然下がらないんだよ……」 ひなたの感情が伝わってきた。 こわい。 何度ここに来ていたって、ここはひなたの住み慣れた世界じゃない。 小さく差し出された手をぎゅっと握ると、ひながた泣きそうな顔で私を見た。小さい頃から変わらない。泣くのをこらえるときに、下唇をぐっと噛む癖。たまらず、私は言った。 「待ってな、ひなた。私そっち行くから。いい?あったかくして、おとなしく待ってるんだよ?絶対すぐ行くから!」 王太子と冒険を繰り広げてきたという妹ひなたの異世界旅行。どこか他人事気分で話を聞いていたら、妹に危機を夢で知り、姉として駆けつけなければという思いから、こかげは異世界の国ディーカルアへと足を踏み入れて……というお話。 これは最高に面白い! therehereで公開されていたWeb小説を書籍化したもので、僕自身、一度Webで読んでるんですが、にもかかわ