東京・湾岸で起きた「異変」 8月上旬、タワー型を含む大規模開発中のマンションの販売で異変が生じた。 2020東京五輪・パラリンピックの選手村を転用して東京・晴海地区に整備されるマンション「HARUMI FLAG(晴海フラッグ)」の第1期分600戸が売り出されると奇妙な現象が起きたのである。 14階建ての最上階、レインボーブリッジや東京タワーを見渡せる1億円超の住戸は71倍もの競争率だった。その一方、応募ゼロの住戸が続出したのだ。人気、不人気の差が極端だった。消費者は人気物件以外に触手を伸ばそうとしなかった。販売主は、慌てて落選者に応募のなかった住戸やキャンセル住戸を紹介し、ほぼ売り尽くしたというが、「五輪人気で即日完売」とはならなかった。明らかに顧客は「ようす見」を決め込んでいた――。 タワーマンションの行く手に陰りがさしてきた。超高層の華やかなヴェールが剥げ、その「不都合な真実」が徐々に