(中央経済社・2420円) 不確実性への対処が企業の本質 新型コロナウイルス感染症で緊急事態宣言が発出された2020年の春、100年前(1918年から1921年にかけて)に流行した「スペイン風邪」が盛んに引用された。だが本書が焦点を当てるのは「死」と「病」、そして得体(えたい)の知れなさがもたらす「不安」。本書ではそれを「不確実性」と呼ぶ。 不確実性とは過去の統計や合理的推論だけでは行動の適否が判定できない状態のこと。1915年から20年頃まで続いた大正バブルに沸く時代の日本の経済社会は、整然と近代化を遂げたのではない。死病という不確実性に向き合う中で形を整えていったのだ。
![今週の本棚:松原隆一郎・評 『感染症と経営 戦前日本企業は「死の影」といかに向き合ったか』=清水剛・著 | 毎日新聞](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/4bd8d25ba615af346bb5570869ce143c0d72f05c/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fcdn.mainichi.jp%2Fvol1%2F2021%2F05%2F29%2F20210529ddm015070146000p%2F0c10.jpg%3F1)