台風12号の上陸とともに読みはじめたメルヴィルの『白鯨』3巻を、先日の台風13号の上陸を前に読み終えた。 終わり近くで、エイハブ船長率いる捕鯨船ピークオッド号もまた台風に巻き込まれるのを台風13号の訪れを前にしながら読み進め、3巻合計1200ページ強を12日かけて読み終えたのだった。 読みはじめたばかりの頃に別の場所でも「鯨の語源」という記事で書いたが、この『白鯨』という小説、所謂「小説」と思って面食らう。小説でもあるが、百科全書的なのだ。 全135章から成る作品中、ストーリーを前進させるのとは無関係に挟まれる鯨関連の知識を伝える章はどれだけあるだろう。 鯨という言葉の成り立ちを問う「語源」をはじまりに、旧約聖書からプリニウスの『博物誌』という古代から、モンテーニュの『エセー』やシェイクスピアの『ハムレット』、ホッブス『リヴァイアサン』やミルトン『失楽園』というルネサンス以降の文学や、クッ