イタリア中部を襲った地震で、震源の近くにありながらほとんど被害を受けなかった町がある。26日に訪れると、過去の地震の教訓が命運を分けた実態が見えてきた。今回の地震で亡くなった人は、27日午前(日本時間同日夕)までに290人に達した。 トリュフが特産で聖ベネディクトの故郷としても有名なノルチャ。中世に建てられた大聖堂がある広場を中心に城壁に囲まれ、多くの観光客が訪れる。米地質調査所(USGS)によると、今回の地震はノルチャの南東約10キロが震源だったが、中心部はほとんど大きな被害を受けなかった。ゴムと金属の板を石材の間に挟むなどの耐震対策が各戸でなされていたことが、理由とみられている。 一方、町全体が崩壊し、230人の死者を出したアマトリーチェは震源から南東約15キロ。死者ゼロのノルチャとは、対照的だ。 人口5千人のノルチャはここ数十年何度も大地震に見舞われた。1979年の地震で歴史的な建物