ブックマーク / natgeo.nikkeibp.co.jp (38)

  • なぜ恐竜は頂点に君臨できたのか? 「試練」は2度あった

    ネズミほどの大きさのコンゴノフォンは、三畳紀に現在のマダガスカルに生息していた爬虫類だった。彼らは俊敏に動き、おそらくは体毛に覆われていた。こうした特徴は恐竜たちにも引き継がれ、ジュラ紀の彼らの繁栄にあずかったと考えられる。(ILLUSTRATION BY ALEX BOERSMA) およそ1億5000万年の長きにわたり地球を支配した恐竜たちがどのように死んでいったかについては、多くの人が知っているだろう。6600万年前に大半の恐竜を絶滅させた小惑星の衝突は、今も人々の興味をひきつけてやまない。 その一方で、なぜ恐竜が台頭したのかはあまり語られない。6600万年と比べれば相当古く、小惑星の衝突のようなドラマティックな出来事を描けていないせいもあるが、どうやらそれは大量絶滅という、地球の生命の歴史における最悪の危機のおかげであるらしい。しかも、一度ではなかった。 現在、新たな化石の発見と進歩

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  • 知っておきたい月の話、驚きの誕生物語から白黒模様の正体まで

    地球の唯一の衛星である月は、ずっと私たちとともにあった。地球の海で最初の生命が誕生したころどころか、地球が冷えて海ができる以前から、地球のまわりを何十億年も公転している。 今は夜空で何事もないかのように輝く月。だが、その物語は驚くほど波乱に満ちている。 月が形成されたのは、約45億年前のことだ。太陽系は誕生したばかりで、彗星や隕石、小惑星があちこちで衝突していた。そうした衝突の1つとして、地球と火星サイズの天体がぶつかったとき、熱で溶けた岩石が宇宙空間に飛び出し、その一部が集まって冷え固まり、月になったと考えられている。 地球と異なり、月にはプレートの運動による地形の変化がなく、雨や風で岩石が風化することもない。おかげで、月には古代の特徴が多く残されており、太陽系と地球の誕生と進化を探る上で、最も有望な場所の1つとなっている。 天文学者たちは長年にわたり、月のでこぼこの表面から、中心部にあ

    知っておきたい月の話、驚きの誕生物語から白黒模様の正体まで
  • インフルエンザと新型コロナに同時に感染したらどうなる?

    個人用保護具を着用して、ノエル・ジャンゼン氏にインフルエンザの予防接種を行うナース・プラクティショナー(医師の指示を受けずに一定レベルの診断や治療などを行うことができる看護師)のエンバル・サバグ氏。2020年9月3日、米フロリダ州キービスケーンにある簡易診療所「CVS pharmacy and MinuteClinic」で撮影。公衆衛生の専門家は、今年はインフルエンザの予防接種が重要だと言う。COVID-19とインフルエンザを併発したときの危険性が、まだわからないからだ。 (PHOTOGRAPH BY JOE RAEDLE, GETTY IMAGES) かかりつけ医から予防接種を勧める案内が届き、近所の薬局には「インフルエンザの予防接種、受けられます」というチラシが貼られる――米国の秋の風物詩だ。 ただ、今年はいつもの秋とは違う。季節性インフルエンザと新型コロナウイルス感染症(COVID-

    インフルエンザと新型コロナに同時に感染したらどうなる?
  • 2千年前のシベリアに暴力の時代、犠牲者の遺骨が続々出土

    シベリアの草原地帯(ステップ)にある約2000年前の墳墓で発掘された若い男性の頭骨。矢じりを受けた跡なのか、ひし形の穴が開いている。(PHOTOGRAPH BY TREVOR WALLACE) ユーラシア大陸の草原地帯(ステップ)にかつて存在した遊牧国家。その崩壊が、数百年に及ぶ激しい闘争の時代をもたらしたのではないか。 シベリア南部でこの時代の遊牧民の墓を掘り起こした考古学者たちは、そう考えた。墳墓から、暴力の犠牲者と見られる遺骨が多数発見されたのだ。 ロシアとスイスの考古学チームは4年前から、ロシアのトゥバ共和国で埋葬のための墳墓(クルガンと呼ばれる)を発掘していた。「トゥンヌグ1」と名付けられたその墳墓は、遊牧民族スキタイが築いた初期の大規模なものだった。スキタイは、紀元前1100年ごろからヨーロッパとアジアの間にある広大なステップの大部分を支配していた。 墳墓の南端を発掘していたチ

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  • パンデミックと闘い続ける人類

    監視船に乗り込んだのは、災害派遣医療チーム。クルーズ船に乗る3500人を体調の悪い人と健康そうな人に分け、上陸準備を進めるためだ。チームには、57歳のマイケル・キャラハンもいた。彼は世界各地のホット・ゾーン(感染症の流行地)で何十年も経験を積んできた感染症の専門家だが、船酔いに苦しみながら、任務開始を待っていた。 日没の少し前、監視船はクルーズ船からつり下ろされた小型ボートに近づいた。医療チームのメンバーたちは船酔いに加え、防護服を着込んでいるせいで、音もよく聞こえず、視界も制限された状態で、一人ずつ小型ボートに飛び乗った。そこからクルーズ船の船腹に設置されたはしごに飛び移り、甲板を目指す。 人類は絶えずエピデミック(感染症の地域的な大流行)にたたられてきた。人類が地球全体に拡散すると、そこにパンデミック(世界的な大流行)が加わった。これまでの大流行は重要な教訓をもたらしたはずだが、現実に

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  • ロスの住宅街にクジャクが出現 野生化の理由と自然への影響

    お気に入りの屋根の上に止まる野生のクジャク。米カリフォルニア州ロサンゼルス郡マリナ・デル・レイで撮影された。地元住民が付けた愛称は「チボリ」(目撃された通りの名から付いた)。このクジャクがどこから来たのか、いつまでいるのかは不明だが、これまで快適に暮らしているようだ。(PHOTOGRAPH BY GLENNA GORDON) どこから来たのか、何を探しているのか、誰にもわからなかった。だが、虹色の尾羽を広げる玉虫色の青い鳥は、いやでも目につく。ここは米国カリフォルニア州、ウエストロサンゼルスだ。住民から、道を歩く野生のクジャクを見たという報告が寄せられたのは2020年4月のことだった。 (参考記事:「コヨーテはなぜNYのバーの屋根に上ったのか」) 「クジャクはとても壮麗で、当に興奮しました。皆、クジャクを見ようと、外に出てきましたよ」と、写真を撮った現地在住のフォトジャーナリスト、グレナ

    ロスの住宅街にクジャクが出現 野生化の理由と自然への影響
  • ライオンを数えるのはなぜ難しいのか?

    ウガンダ、クイーン・エリザベス国立公園の木のまたで休むメスのライオン。ライオンは急激に減少しており、その保護の取り組みには、個体数の正確な推計が不可欠だと研究者らは言う。(PHOTOGRAPH BY ALEXANDER BRACZKOWSKI) ライオンは恐ろしい勢いで減っている。それは確かだ。アフリカでは過去120年間に、かつての生息域の9割以上から姿を消した。この25年だけを見ても、個体数はほぼ半減している。 では現在、アフリカには何頭のライオンが残っているのだろうか? その答えは驚くほどあいまいだ。2万頭というのが最もよく引用される数だが、ライオン研究者の多くは必ずしもこの数字に納得していない。 この推定頭数は「科学というより憶測に基づくところが大きい」と、英オックスフォード大学のライオン研究者ニック・エリオット氏は言う。「アフリカにいるライオンの頭数は、よくわかっていません」 クイ

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  • 除草剤で赤ちゃんワラビーのペニス小さく、母親が摂取、研究

    ワラビーは豆粒ほどの大きさの未熟な状態で生まれ、母親の腹にある袋(育児のう)の中で育つため、他の多くの哺乳類に比べ、化学汚染物質などの外部からの脅威に影響を受けやすいという。(PHOTOGRAPH BY AUSCAPE, GETTY IMAGES) 除草剤のアトラジンは、日を含め世界で広く使用されているが、動物の性的発達を阻害する可能性が様々な研究で指摘されている。最も使用量が多い米国とオーストラリアでは、小川や湖、飲料水から微量に検出されるケースも多い。 8月5日付けで学術誌「Reproduction, Fertility and Development」に発表された研究では、アトラジンがダマヤブワラビー(Macropus eugenii)の生殖器の発達を阻害したという結果が得られた。ダマヤブワラビーは、オーストラリアに生息するカンガルー科の有袋類だ。 メスのダマヤブワラビーに、450

    除草剤で赤ちゃんワラビーのペニス小さく、母親が摂取、研究
  • 雪の中のチーターを撮影、アフリカで2例目

    辺りを見回すオスのチーター。最近、ロッゲ・クルーフ自然保護区に放された個体だ。新たに導入する個体は、まずフェンスの囲いに入れて新しい環境に慣れさせる。 (PHOTOGRAPH BY KIRSTEN FROST) 雪の中のチーターをとらえた珍しい写真が撮影された。場所は南アフリカ共和国でも特に寒いロッゲ・クルーフ自然保護区、撮影したのは動物写真家のカーステン・フロスト氏だ。(参考記事:「動物大図鑑 チーター」) 8月の雪の中、フロスト氏は発信器付きの首輪をしたメスのチーターを2日にわたり追跡していた。吹き付ける雪の中で目を凝らしていると、チーターの顔がちらりと見えた。体にも雪がかかり、一面真っ白の景色に溶け込んでいた。 「妙に現実離れした感覚がありました」と、フロスト氏はナショナル ジオグラフィックに対してメールで語った。「これはわずかな人しか経験したことのない瞬間であり、私にとって決して忘

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  • 金星の大気中に生命が存在か、ホスフィンを検出

    の金星探査機「あかつき」の赤外線カメラで撮影した金星の雲。色の濃い高層雲が、明るい中間層雲の輝きを遮っている。この温暖な中間層雲にホスフィンガスが存在していることが明らかになり、生命の兆候ではないかと話題になっている。(FALSE COLOR PHOTO BY JAXA / ISAS / DARTS / DAMIA BOUIC) 金星を取り巻く雲の中に、ホスフィン(リン化水素)が含まれていることが明らかとなり、生命の存在を示す証拠ではとの議論が持ち上がっている。9月14日付の学術誌「Nature Astronomy」に、論文が掲載された。 ホスフィンは、生命にとって死に至る有毒ガスであるにも関わらず、地球のような岩石惑星においては人間や微生物など生命からしか生成されないと考えられている。第一次世界大戦中に化学兵器として使用されたことがあり、現在も農業や半導体産業で使われている。自然界で

    金星の大気中に生命が存在か、ホスフィンを検出
  • 動物の“処女懐胎”、なぜできる? ヒトではなぜ無理なのか

    孵化したばかりのコモドオオトカゲが木に登る。インドネシア、コモド国立公園で撮影。コモドオオトカゲは、単為生殖による「処女懐胎」が可能な数少ない脊椎動物の1つ。(PHOTOGRAPH BY STEFANO UNTERTHINER, NAT GEO IMAGE COLLECTION) 大半の動物は、オスとメスが交配して繁殖する。だが、一部の動物はその有性生殖に際し、メスだけでも子を残せる。いわば処女懐胎だ。これは「単為生殖」と呼ばれ、ミツバチからガラガラヘビまで様々な生物で例がある。 例えば2016年、オーストラリアのリーフHQ水族館で飼われているトラフザメの「レオニー」が飼育員を驚かせた。数年間オスとの接触がなく、他のメスと一緒に飼われていたにもかかわらず、産んだ卵から3匹の子サメが誕生したからだ。(参考記事:「トラフザメが“処女懐胎”、3匹の子サメが誕生」、「“処女懐胎”のトラフザメ、過去

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  • このフクロウは目を閉じても物が見える、どういうこと?

    擬態の名人ニセメンフクロウは、目を閉じていても物が見える。写真はマレーシアのペナン・バードパークのもの。(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE, NATIONAL GEOGRAPHIC PHOTO ARK) 忘れられない鳴き声からぐるりと回る首、憂いを帯びた目まで、フクロウはいろいろな魅力に溢れている。 さらに、あの神秘的な雰囲気や、神々しさの秘密はどこにあるのだろうか。フクロウたちの驚きの能力と魅力を紹介しよう。 自在に回る首 フクロウの目は非常に大きいため、眼球を眼窩の中で動かすことができない。そこで頭ごと向きを変えなければならず、ホラー映画ばりに首を回すことになるのだが、あんなことができるのは複雑なシステムのおかげだ。 まず、フクロウの頭蓋は1カ所で支えられているため、2カ所で支えられている人間と比べて可動域が広い。首の骨も、人間が7個なのに対し、フクロウは14個もあ

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  • 11.5万年前の人類の足跡を発見、アラビア半島最古

    サウジアラビアのアラタールという古代の湖による堆積物の跡から、数百個の足跡化石が見つかり、その中からホモ・サピエンスのものと思われる足跡化石が7つ特定された。(PHOTOGRAPH BY KLINT JANULIS) サウジアラビア北部の砂漠地帯で、いくつもの小さなくぼみが見つかった。その数は全部で376個。目立つものではなく、2017年にこの地域を調査していた科学者のチームもあやうく見過ごすところだった。 しかし詳しく調べていくと、このくぼみは古代の動物たちが残した足跡の化石と判明。なかには現生人類ホモ・サピエンスの足跡も含まれているらしいことがわかった。 これが当にホモ・サピエンスの足跡と確認されれば、アラビア半島では最古の例になる。アラビア半島は、アフリカを出て世界へ拡散する人類が最初に通ったはずの場所だ。(参考記事:「人類の出アフリカは早かった?アラビア半島で足跡」) 9月18日

    11.5万年前の人類の足跡を発見、アラビア半島最古
  • ネコに殺された232匹の動物たち、一枚の写真に

    写真家ジャック・ワンダリー氏の作品。2019年、ネコに致命傷を負わされ、米国カリフォルニア州の動物病院「ワイルドケア」に運び込まれた野生の鳥類、げっ歯類、爬虫類などを撮影した。(PHOTOGRAPH BY JAK WONDERLY) 死んだ動物の美しさを写真にとらえられるだろうか? 写真家ジャック・ワンダリー氏にとって、それは新しい挑戦だった。 ワンダリー氏の写真「Caught by Cats(ネコに捕らえられて)」は2020年、写真コンテスト「BigPicture Natural World Photography Competition」の人・自然部門で最優秀賞に輝いた。この写真はある残酷な現実を映し出している。それはつまり、この写真1000万枚分に相当する、何十億という動物たちがネコに命を奪われているという現実だ。 この写真を撮るきっかけとなったのは、米国カリフォルニア州にある非営利

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  • 夏の不調、夏バテではなく「夏季うつ」かも

    夏の季節性感情障害(SAD)は、高温、多湿、さらには花粉の多さなど、複数の環境要因が引き金になりうる。(PHOTOGRAPH BY LI HUI) 米バージニア州南部に住む高校教師のクリスティーナ・フローレスさんは、去年の夏、2週間かけて米国中西部をドライブする計画を立てた。オハイオ州の湖岸に沿って車を走らせ、アイオワ州の平原に入り、その先をめざすのだ。 フローレスさんには全米50州すべてを見て回るという長期的な目標があり、このドライブでその達成にまた1歩近づくはずだった。けれども出発の前日になって突然旅行をキャンセルした。気分の落ち込みが激しく、家を出られなかったのだ。宿の予約金は没収された。 これほどひどいことはめったにないが、フローレスさんにとってははじめての経験ではない。彼女には年間を通して軽い抑うつ症状があり、夏になると悪化する。 現在43歳の彼女は2010年の夏に季節性感情障害

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  • 過去最大のブラックホール衝突を確認、科学者興奮

    今にも衝突しようとする一対のブラックホールの想像図。(ILLUSTRATION BY MARK MYERS, ARC CENTRE OF EXCELLENCE FOR GRAVITATIONAL WAVE DISCOVERY (OZGRAV)) 今から70億年以上前、2つの巨大なブラックホールがお互いのまわりを周り、やがて衝突して合体した。この激しい衝突により、時空のゆがみが波となって宇宙に広がっていった。重力波である。 2019年5月21日の早朝、はるか彼方で発生した重力波が地球に到達し、米国のLIGOとイタリアのVirgoという2つの重力波観測所でとらえられた。天文学者たちがその信号を分析したところ、これまで検出されたなかで最大の衝突と、理論上ありえないブラックホールについて、手がかりが得られた。(参考記事:「解説:ブラックホールの撮影成功、何がわかった?」) GW190521と名付け

    過去最大のブラックホール衝突を確認、科学者興奮
  • 過去最大のブラックホール衝突を確認、科学者興奮

    今にも衝突しようとする一対のブラックホールの想像図。(ILLUSTRATION BY MARK MYERS, ARC CENTRE OF EXCELLENCE FOR GRAVITATIONAL WAVE DISCOVERY (OZGRAV)) 今から70億年以上前、2つの巨大なブラックホールがお互いのまわりを周り、やがて衝突して合体した。この激しい衝突により、時空のゆがみが波となって宇宙に広がっていった。重力波である。 2019年5月21日の早朝、はるか彼方で発生した重力波が地球に到達し、米国のLIGOとイタリアのVirgoという2つの重力波観測所でとらえられた。天文学者たちがその信号を分析したところ、これまで検出されたなかで最大の衝突と、理論上ありえないブラックホールについて、手がかりが得られた。(参考記事:「解説:ブラックホールの撮影成功、何がわかった?」) GW190521と名付け

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  • 新型コロナ対策の屋外消毒は危険、動物の大量死も

    道路に消毒剤を散布する戦車型ロボット。3月16日、中国武漢で撮影。現在、専門家は健康上の懸念を理由に、屋外で消毒剤を散布すべきでないと勧告している。(PHOTOGRAPH BY BARCROFT MEDIA, GETTY IMAGES) 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが発生した当初、公衆衛生当局は、ウイルスの拡大を阻止する最も効果的な方法の一つは、人がよく触れるものの表面を消毒することだと考えていた。 その結果、中国韓国、フランス、スペインなどでは、大量の消毒剤が人口密集地域に散布された。トラック、ドローン、さらにはロボットが、道路や公園などの公共空間に消毒剤を浴びせた。 インドネシアではドローンが上空から消毒剤をまき、スペインのある村ではトラクターが何百リットルもの漂白剤を公共のビーチに散布した。 世界保健機関(WHO)や感染症の専門家はこれを受け、消毒剤の

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  • 現代の海水魚で初の絶滅宣言、豪タスマニアの「歩く魚」

    オーストラリア、タスマニアの州都ホバート近くを流れるダーウェント川の河口に生息する近絶滅種のスポッテッド・ハンドフィッシュ。海水の温度上昇や汚染によって種の存続が危ぶまれる。近い仲間のスムーズ・ハンドフィッシュが2020年5月に絶滅を宣言された。(PHOTOGRAPH BY ALEX MUSTARD, MINDEN PICTURES) スムーズ・ハンドフィッシュ(Sympterichthys unipennis)が、現代の海水魚としては初めて絶滅を宣言された。トゲだらけのヒレをもち、頭部にカギ状の突起があるこの魚は、浅瀬の海底に生息していた。最後に目撃されたのは1802年。フランス人の生物学者フランソワ・ペロンが、オーストラリアのタスマニア沿岸付近で捕獲し、パリの自然史博物館に持ち帰ったときのことだ。 その後は長年にわたる調査にもかかわらず、スムーズ・ハンドフィッシュが見つかることはなかっ

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  • 北極のシロイルカがカリフォルニアの海に出没、科学者ら困惑

    2020年6月、サンディエゴ沖を泳ぐシロイルカが発見された。エコツアー会社「ゴーン・ホエール・ウォッチング」の経営者で、ホエールウォッチング船の船長を務めるドメニク・ビアジーニ氏がドローンで撮影した。 北極海と周辺の海に暮らすシロイルカ(ベルーガ)が、そのはるか南、米国カリフォルニア州サンディエゴ沖で目撃された。サンディエゴは、日の熊や八丈島と同じくらいの緯度にあり、公式に記録された目撃場所としては最も南だという。 まさかシロイルカが 発見されたのは2020年6月26日。ホエールウォッチングツアーの船長で野生動物の写真家でもあるドメニク・ビアジーニ氏は、6人のツアー客を船に乗せ、ミッションベイの沖合でクジラ(できればシロナガスクジラ)を探していた。別のツアーの船長、リサ・ラポイント氏にもクジラを見つけていないか無線で尋ねてみた。 「たった今、真っ白で背びれのない4、5メートルの動物を見

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