IT業界の今年を振り返れば、クラウドに明け、クラウドで暮れた一年だった。猫も杓子もクラウドである。なんだか、この言葉を使わなければ、時代に取り残されたような気持ちになる。 景気が低迷を続ける中、何とかお客さまの関心を惹くために、その価値を斟酌することもなく、ただ目新しいからという理由だけで、このキーワードを乱発するソリューション・ベンダーも少なくない。 また、ユーザー側も、一層のコスト削減を迫られ、自身のリストラも危ぶまれるなか、クラウドに可能性を求めた。 まさに、「クラウド強迫神経症」とでも言うべき空気が、このIT業界に漂っていた。 しかし、その神通力もそろそろ切れ掛かっている。「何だろう?」の好奇心から、「どうしよう?」の現実論へと、クラウドを取り巻く意識が、大きく変わり始めている。 もはや「クラウドとは何か?」の期間は終わった。これからは、「クラウドをどう使えばいいのか?」を考える時