今週のコラムニスト:マイケル・プロンコ 〔9月28日号掲載〕 8月にアメリカ東部バージニア州を震源とする地震が起きて、私は東海岸に住む友人や家族にこんな見舞い状を送った。「たったマグニチュード(M)5・8?日本じゃそんな小さい地震、たとえ起きても気が付かないよ」 もちろん嘘だ。地震が起きると私は、肉食獣に襲われかけた動物みたいな気分になる。周囲を見回し、アドレナリンが分泌され、走る体勢になる。3月11日は、空に飛び上がりたかった。東京では地震は生活の一部なのに、私は慣れることができないと悟った。 初めて地震に見舞われたのは、アパートで手紙を書いていたときのこと。古い安普請の建物だったので、最初は窓ガラスが鳴ったり食器棚が揺れているのは風のせいかと思った(私の出身地カンザス州は竜巻が名物なのだ)。だがコーヒーが書きかけの手紙にこぼれたところで、私は揺れの正体に気付いた。地震初体験は手紙に書く