料理の世界に入って40年。おいしい料理をわたしたちに教えてくれる料理研究家の土井善晴さんですが、「料理はおいしくなくてもいい」と言います。さて、なぜでしょうか。 「おいしい」 を強いる空気 ――土井さんは、料理はおいしくなくてもいいと言われます。 意外と思われますが、料理の「おいしい」が優先されるようになったのは、最近のことだと思います。現代の「おいしい」とは“味付け”のことであって、味付けという人工的なおいしさばかりを、おいしいと言っているのです。 和食は素材を生かす料理です。それが加工食品、外食になれた口には、味付けばかりをおいしいって言うようになったんです。それは、素材がいいからだっていう人がいるけど、自分で料理するとわかるでしょう。ゆでただけ、焼いただけで、おいしく食べられるのです。和食というのはそういうものなんです。 食べるものが西洋レストランのようにおいしくなくてはならないとい
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