「フランスのブルボン王朝の出来事かと思うほど、前近代的なことが起きた」。菅義偉首相が日本学術会議の新会員候補6人を任命拒否した問題。学術会議の連携会員で、パリの科学史を研究してきた隠岐さや香・名古屋大大学院教授はこう表現する。5年前、学術会議のあり方を考える有識者会議の委員を務めた隠岐さんには、政府の今回の対応が「学術界に対するモラハラ」に見えるという。どういうことか、詳しく聞いた。【牧野宏美/統合デジタル取材センター】 「日本は君主制の国になったのか」 ――任命拒否の問題が発覚してから2カ月近くたちました。最初に知った時はどう感じましたか。 ◆近世フランスのブルボン王朝時代の出来事ではないかと驚きました。それほど異常で前近代的なことが起きたという意味です。私は科学史が専門で、18世紀の「パリ王立科学アカデミー」という、自然科学アカデミーの歴史を研究しています。その会員選出方法も調べました