【問題提起】 いわゆる「アラブの春」と呼ばれる出来事が始まって2年になります。 おととしの暮れ、北アフリカのチュニジアで、 1人の若者が焼身自殺したのをきっかけに、 長期独裁政権の腐敗や若者の失業問題に怒った民衆の抗議デモが起きました。 政権はあっけなく倒れ、 同じような問題を抱えたアラブの国々に、民衆の抗議運動が広がり、 エジプト、リビア、イエメンで、長期独裁政権が崩壊しました。 「アラブの春」と言いますのは、欧米のメディアが、 アラブ諸国に欧米流の民主主義が広がることへの期待を込めて、 勝手に名づけたものですが、 その後のアラブ世界は、「春」という言葉が持つ、 希望に満ちたイメージとはかけ離れた、厳しい現実に直面しています。 なぜ、そうなったのか。エジプトとシリアを例に考えます。 まず、エジプトは、ムバラク政権の崩壊後、最大の危機を迎えています。 モルシ大統