大作『沈みゆくルシタニア号』のあと、マッケイは手間のかかるペーパーアニメをやめ、セルアニメに切り替えた。初めての本格的セル作品は『ケンタウルス』(1919頃/部分のみ現存)ではないかと思われる。『ケンタウルス』は、その存在こそ知られていたものの、永らく幻の作品となっていた。ネガが紛失し、プリントも失われていたと思われていたのだ。 ところが近年になって、ある倉庫にフィルムが眠っていたのが発見された。しかし保存状態が悪く、缶を開けたとたんにフィルムの大半が粉となって飛び散ったという。フィルムが癒着し固形化していたうえに衝撃を与えてしまったこと、そして半世紀ぶりに急激な外気にさらされたことによる悲劇であった。 現存する『ケンタウルス』は、残ったフィルムを注意深く修復したものだ。断片なのでおよそ2分ほどしか残っておらず、ストーリーはよくわからないが、若いケンタウルスの男女とその子供、そして年老いた