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ブックマーク / sociology.jugem.jp (7)

  • メディア批評系の卒論をどう指導するか | Theoretical Sociology

    来年度の卒論指導に向けて、今年度の反省や感想を簡単にまとめておこうと思う。今年感じたのは、 アニメやマンガなどを批評する卒論は難しそうだということである。なぜか流行歌の研究は比較的うまくいっているような気がするし、アニメや漫画ゲームなどにしても、必ず失敗することを運命づけられているというわけではないだろうが、これまでの卒論の例を見る限り、失敗率が高そうな気がする。印象論で言うと、失敗率が高い理由は3つ考えられる。 まず、深く考えず安易にメディア批評を選ぶ学生が多いこと。メディア現象は身近な社会現象だろうし、メディア批評の中には面白いものもある。学生がこういったテーマに魅力を感じるのはよく理解できるのだが、読んで面白いからといって自分が面白いものをかけるとは限らない。メディア批評の論文が『社会学評論』や『ソシオロジ』のような主要な社会学雑誌に載ることはまれだと思うが、それはメディア批評をオ

    メディア批評系の卒論をどう指導するか | Theoretical Sociology
  • 学問運動の一般理論 | Theoretical Sociology

    S. Frickel and N. Gross, 2005, "A general theory of scientific/intellectual movements," American Sociological Review, Vol.70 No.2, pp.204-232. 社会運動の理論(はく奪論、資源動員論、フレーミング論)を、科学や人文系の新しい学派やパラダイムの形成(scientific/intellectual movements: 学問運動)にあてはめた論文。新しい学派やパラダイムの形成と社会運動の類似性は、かなり以前から指摘されている。Frickel and Gross が参照しているものの中で一番古いのは、Bucher (1962) であるから、クーンの『科学革命の構造』の初版と同じ年である。両者の類似性ゆえ、社会運動論を学問運動に応用することが可能であると Fr

    学問運動の一般理論 | Theoretical Sociology
  • 文献を使う: 参照ネットワーク、参照コンテクスト、学問の社会構造 | Theoretical Sociology

  • 基礎付け主義・研究のプライオリティ・理解の重層性 | Theoretical Sociology

    先日研究会で発表したときに受けた批判の一つにここで答えておきたい。それがずっとひっかかっていて気分が悪かったので、ここで吐き出しておこう。私は、正規雇用と非正規雇用の時給の差が、日韓国台湾でどのように異なるのか分析したのだが、それに対して、「非正規雇用という概念の来歴や特徴を国ごとにまず正しく理解するべきで、それをせずにいきなり国際比較しても意味がない」といった趣旨の批判がなされたようである。「ようである」というのは、何を言っているのか、批判の論旨が不明瞭だったので、そのときは何を言われているのかよくわからなかったのだが、ほかの人の発表のときの議論などを踏まえて遡及的に考えると、そのような趣旨の批判だったように思う。 この批判は基礎付け主義の一種であるので、私には受け入れられない。基礎付け主義とは、元来、「科学的知識は、正しい哲学によって基礎付けられなければならない」とする哲学的立場

    基礎付け主義・研究のプライオリティ・理解の重層性 | Theoretical Sociology
  • 「XXとは何か?」という問いの不毛 | Theoretical Sociology

    これも酒飲み話の補論。 社会学では、「権力とは何か?」「イデオロギーとは何か?」「社会とは何か?」といった問いがしばしば問われるが、私は、こういった「XXとは何か?」という問いの形式は、教科書や啓蒙的な文脈ならばともかく、個々の研究を主導するリサーチ・クエスチョンとしてはしばしば不毛であると考えている。不毛であるというのは、他人を説得できるような証拠やロジックに基づいてオリジナリティのある結論を導くことができないだろうという意味である。 例えば、「市民社会とは何か」という問いを考えてみよう。私の知るかぎり、このような問いにアプローチする方法は、2つある。一つは現象学的な方法、もう一つは学説史的方法である。 現象学的方法とは、自らの知覚や意識を反省的にとらえ返すことを通して、自分自身が「市民社会」というものをどのようにとらえているのかを明らかにしていく方法であると考えておく。このような方法は

    「XXとは何か?」という問いの不毛 | Theoretical Sociology
  • 社会学雑誌に関する(正しい、あるいは誤った)思いこみ | Theoretical Sociology

    Lowell L. Hargens, 1991, "Impressions and Misimpressions about Sociology Journals," Contemporary Sociology, pp.343-349. 社会学の雑誌の特徴について論じたもの。"Featured Essay" なので、いわゆる論文とはちがうのかもしれない。さて、 Hamilton(1991) によれば、社会学の雑誌論文のうち、出版後4年以内に参照される論文は、23%にすぎないという。つまりたくさんの論文が出版されているが、それらはほとんど読まれていないか、読まれていてもその後の研究の役に立っていないと示唆されているのである。こういった現象の背後には、社会学雑誌の数の急速な増加があり、どんなにひどい論文でもどこかの雑誌には掲載できると揶揄する研究もあるという。Hargens はこういった議論

    社会学雑誌に関する(正しい、あるいは誤った)思いこみ | Theoretical Sociology
  • 阪大を去るにあたって: 社会学の危機と希望 | Theoretical Sociology

    明日から京大に異動になります。阪大には6年間、助/准教授として働きましたが、当に楽しい6年間でした。 最後に日の社会学に対する危惧を一つ述べておきます。日の社会学の特徴は、アカデミズムの軽視だと思います。すなわち、学会報告や学会誌を軽視しているということです。学会発表もせず、学会誌に論文を投稿もせず、それでも社会学者づらしてを出版したり、さまざまなメディアで発言することができるのが、日社会学の実情です。このようなことが起きるのは、学会報告や学会誌が、新人の登竜門として位置づけられており、その評価が低いからだと思われます。エライ先生はしか書きません。エライので査読を受ける必要もありません。こっそり紀要などに考えを公開することはありますが、人から評価されるのは恐ろしいので、学会誌には絶対投稿しません。出版社もが売れさえすればいいので、研究の水準や主張の真偽は気にしません。エライ先

    阪大を去るにあたって: 社会学の危機と希望 | Theoretical Sociology
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