夫の遺品である腕時計を手に、裁判についての思いを語る妻。腕時計は妻がプレゼントしたものだった=富山県で2023年6月13日午後4時24分、鈴木拓也撮影 ブラックな仕事だよな――。中学教諭だった夫はそんな愚痴をこぼし、40代の若さで逝った。週末は部活動の指導で潰れ、倒れる前日までの53日間で休日はわずか1日。そうした働き方の是非を問い、妻(40代)らが民事裁判を起こした。提訴を決意したきっかけは、夫の葬儀で参列者が娘に掛けていた言葉への「違和感」だった。【鈴木拓也】 3日前から頭痛も「絶対休めない」 夫は、富山県滑川(なめりかわ)市の市立中学校で教諭を務めていた。亡くなったのは7年前。当時、進路選択を控える3年生の担任や女子ソフトテニス部の顧問、理科の教科指導などを担当していた。責任感が強く、「ずっと現場で子どもたちを教えたい」と語るほど熱心だったという。 異変が起きたのは2016年7月22