マンションの性能向上は、一戸建て住宅以上に後回しにされてきた。住む人にとってはすでに仕様が決まっている物件から選ぶので、目には見えない省エネ性能については、事前に説明されることも、検討する機会もなかった。 そうしたマンション業界の常識を変えるために2020年に完成したのが、今回紹介する高性能マンション「MEGUROHAUS」である。そして、この小さな物件をモデルに、マンションの高性能化に向けた議論が活発化してきている。 JR目黒駅から徒歩7分の一等地に、小ぶりながら異彩を放つマンションがある。今回の舞台、MEGUROHAUSだ。坂にそびえ建つ、グレーと白の外観とシンプルなデザインは、ドイツ在住の建築家・金田真聡さん(4ds Int. GmbH代表)が設計したものだ。 金田さんは言う。「ドイツで設計してきた高性能な建築物を日本に持ってきたら、どれくらい快適で省エネになるか試したかったんです」