バルト三国の一つ、リトアニアは北海道ほどの面積の小国だ。欧州連合(EU)への加盟を機に原発と決別したはずだったが一転、新原発建設を進めることになった。電力自給にかける思いが強い半面、原発事故に対する不安も、なおくすぶっている。 (リトアニア北東部ビサギナスで、原誠司、写真も) リトアニアの首都ビリニュスから北東約百三十キロにあるビサギナス市郊外。国内最大で最も透明度が高いといわれる湖に面して草地が広がる。二〇二〇年に原子炉一基の完成を目指すビサギナス原発の建設予定地だ。 間近には、〇九年に完全閉鎖した旧イグナリナ原発の二基の煙突が解体を待っている。大爆発で世界を震え上がらせた旧ソ連のチェルノブイリ原発と同型の炉心が危険と判断され、リトアニアのEU加盟条件になったためだ。