新型コロナウイルス感染症と、東京電力福島第一原発事故−。一見関係なさそうな両者だが、発生時の政府の対応が似ているとの指摘がある。専門家らによる事前の警鐘が生かされないまま発生し、国民の混乱を恐れて情報公開に消極的な姿勢がみられた。衆院選でも大きな争点として注目される政府のコロナ対応。識者は「反省点を共有し、教訓を生かさなくてはならない」と訴える。 (高橋雅人) 「原発事故と新型コロナには二つの共通点がある」と指摘するのは、東京電力福島第一原発事故の国会事故調査委員会で委員長を務めた黒川清・政策研究大学院大名誉教授。現在は政府のコロナ対策の効果を検証する会議の委員長を担う。「一つは想定していない事態だったこと。もう一つは放射性物質もウイルスも目に見えないこと。見えないと何をしていいか分かりづらい」と語る。 国会事故調は二〇一二年七月の報告書で、原発事故を「明らかに人災」と結論づけた。国際原子