ブックマーク / www.ide.go.jp (7)

  • 第22回 インド――幻想のなかの「満洲」《続・世界珍食紀行》(湊 一樹) - アジア経済研究所

    いまから7年ほど前、在外研究のためにインドの首都デリーに滞在していた時の話。受入れ先の研究機関はデリー大学の北キャンパスにあり、近くには多くの店が軒を連ねる賑やかな一帯が広がっていた。ある日、飲店が立ち並ぶ大通りをキャンパス沿いに歩いていると、見慣れない派手な看板が目に留まった。よく見ると、インドではお目にかかったことのないクレープ店で、メイド服を着た女の子のキャラクターとピンクを基調とした店構えが、奇妙なほど周囲から浮き立っている。好奇心から店のなかに入ってみると、数名のインド人女性がメイドの格好をして働いており、謎は深まるばかりだった。 しかし、店内に日人らしき男性2人の姿があったので、こちらから声をかけて話をしてみると、疑問はすぐに氷解した。彼らは、インドで新事業を立ち上げたばかりの日企業の社員だった。この会社は、日国内だけでなく東アジアや東南アジアの国々でも、うどん・そば店

    第22回 インド――幻想のなかの「満洲」《続・世界珍食紀行》(湊 一樹) - アジア経済研究所
  • 佐藤章編『サハラ以南アフリカの国家と政治のなかのイスラーム――歴史と現在――』 - アジア経済研究所

    イスラームととりわけ深い歴史的関わりを持つアフリカ西部、アフリカ東部、南アフリカに注目し、イスラームが国家と政治とにどのように関わってきたかを植民地化以降の時間的パースペクティブのなかで考察する。イスラーム法と近代国家関係、政治的イスラームと政治史の関わり、独立運動との連動、移民コミュニティにおけるイスラームなどのトピックを扱う。歴史的な事象を詳しく分析・再構成する事例研究を通して、今日の状況を理解するための示唆を得、将来的にサハラ以南アフリカの国家と政治におけるイスラームという大きなテーマを俯瞰することを目指した野心的な論集である。

    佐藤章編『サハラ以南アフリカの国家と政治のなかのイスラーム――歴史と現在――』 - アジア経済研究所
    taron
    taron 2021/03/30
  • ミャンマーの民政移管10年を記録する――図書館・資料収集の現場から(小林 磨理恵) - アジア経済研究所

    近年、当館におけるミャンマー関連の資料収集は充実していた。直近では2020年の資料収集が印象深い。コロナ禍に揺れた時期、もとよりミャンマー現地への渡航はかなわず、外国送金による調達であった。 総選挙という国の一大事を控えたミャンマーでは、2020年8月に2016年以降の国民民主連盟(以下、NLD)政権を総括する資料群が出版された。一次資料として価値ある内容であり、すぐに購入を決断したものの、出版を報じる新聞記事1中に資料名の記載がなく、リストアップすることができない(資料の発注には正確な資料名の提示が基)。一方、少部数しか刷られていないことも予想され、悠長にしている時間はなかった。 そこで当館の資料購入担当者に相談したところ、すぐにヤンゴンにある書店、ミャンマー・ブック・センターに問い合わせてくれた。ほどなくして同書店から返信があり、資料全点をリスト化したインヴォイスを入手することができ

    ミャンマーの民政移管10年を記録する――図書館・資料収集の現場から(小林 磨理恵) - アジア経済研究所
  • (アジアに浸透する中国)99年租借地となっても中国を頼るスリランカ(荒井 悦代) - アジア経済研究所

    スリランカのハンバントタ港が2017年7月より99年間にわたり中国国有企業・招商局港口にリースされることが決まった。このハンバントタ港をめぐる決定は中国による「債務の罠」の典型例と見なされている。すなわちインフラ建設などを行うために中国からふんだんに融資を受けたものの、施設が十分な利益を生むことはなく、借金が膨らみ、返済不能になり施設や土地を中国に明け渡さざるを得なくなった事例である。 スリランカを「債務の罠」の典型例として報道する記事はこれまで数多くあったが、2018年6月25日付のニューヨークタイムズの記事は衝撃的だった。同記事は40,000ワードのボリュームからなり、これまで語られることのなかった事実が綿密な取材で構成されている。特に2つの点を明示したことに意味がある。一点目は中国と当時の大統領マヒンダ・ラージャパクサとその一族の密接な関係が暴露された。具体的には2015年の大統領選

    (アジアに浸透する中国)99年租借地となっても中国を頼るスリランカ(荒井 悦代) - アジア経済研究所
  • 朝鮮民主主義人民共和国の防疫体制(中川 雅彦) - アジア経済研究所

    2020年初めから中国武漢での流行が知られるようになった新型コロナウイルス感染症に関して、朝鮮民主主義人民共和国(以下、朝鮮)保健省は世界保健機関(WHO)に対して4月2日時点で感染者なしと報告し、また、6月9日にロシアのタス通信に対しても、感染者は出ていないと発表している1。そして、平壌に駐在しているロシアのマツェゴラ大使も5月29日にタス通信に対して、朝鮮が「現時点で感染症を免れたほとんど唯一の国」であると述べている2。 ここでは、これまでのところ感染者ゼロを維持することに成功している朝鮮でどのような防疫措置がとられたか、そして、防疫事業を進めている組織がどのようなものかを明らかにしてみたい。 2020年1月9日にWHOが中国武漢で発生している肺炎に関する声明を出し、15日に日での感染者が確認されると、16日には朝鮮の公式メディアである朝鮮中央テレビ中国での新型コロナウイルスに関し

    朝鮮民主主義人民共和国の防疫体制(中川 雅彦) - アジア経済研究所
  • (アジアに浸透する中国)モルディブの選挙で親中派の大統領が敗北(荒井 悦代) - アジア経済研究所

    モルディブは、2013年に就任したアブドッラ・ヤミーン大統領の下では中国が第一のパートナーであり、中国の資金を得て経済開発を推進してきた。それに比して長年強固な関係を継続してきた地域のリーダー国であるインドに対するヤミーン政権の態度は露骨に冷淡だった。 中国の影響力の大きさを表す最も象徴的な建造物は、2018年8月30日にお披露目されたモルディブ・中国友好橋だ。首都マレと空港のある島(フルマレ)を結ぶ長さ2キロの橋である。2015年に建設が始まり、総工費は2億ドルとされている。瀬戸大橋に比べれば規模としてはそれほど大きくない。しかし、モルディブの人々はこれを開発の象徴と受け止めた。 モルディブは小さな島の集まりで、首都マレのある島で最も長い直線道路は2キロ弱、島の面積は1.8平方キロメートルにすぎない。これまでに中国の援助で国立博物館が建設されたり、住宅建設などが行われたりしたが、ここまで

    (アジアに浸透する中国)モルディブの選挙で親中派の大統領が敗北(荒井 悦代) - アジア経済研究所
  • 中国・新疆ウイグル自治区のカザフ人――不法入国とカザフスタン政府のジレンマ(岡 奈津子) - アジア経済研究所

    判決後、喜びに思わず両手で顔を覆うポニーテールの中年女性。狭い法廷に拍手と歓喜の声が響き渡る。ガラス張りの被告人席から出るように促された彼女は、集まった家族や支援者らと抱擁を交わした。さらに外に出て裁判所の前に立つと、ナザルバエフ大統領と同胞たちへの感謝の言葉を述べ、「カザフスタン万歳!」と叫びながら力強くこぶしを突き上げた1。 この女性の名はサイラグル・サウトバイ。中国・新疆ウイグル自治区出身のカザフ人で、2018年4月、偽造パスポートを使ってカザフスタンに不法入国した罪に問われていた。対中国境に近い南東部の町ジャルケントの裁判所は同年8月、彼女に執行猶予付き懲役6カ月の刑を言い渡した。焦点となった中国への強制送還については、入国目的が家族との再会であったこと、また夫と子ども二人がカザフスタン国籍を有することを考慮し、行わないとされた。 サウトバイの裁判は、カザフスタン国内のみならず国際

    中国・新疆ウイグル自治区のカザフ人――不法入国とカザフスタン政府のジレンマ(岡 奈津子) - アジア経済研究所
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