「映画監督・北野武」誕生 奥山 和由(以下、奥山) 深作さんはとにかく降りるっていう決心をしちゃっているなかで、「武さんが監督ってのはあるかなぁ」と思いながら「とにかく一発勝負で訊いてみるしかない」と。だけど、もし「やる」ってことになったときにFRIDAY事件の直後ですから、謹慎が解けて、じゃあ武さん監督でいこうってなったときにテレビの収録が山ほど積もっていたんです。撮影を1週間おきにしかやれないよと。でも、とにかくそれでしか前に進めないのであったら進むしかないよねっていうことで。 映画プロデューサーの奥山和由氏 鍋島 壽夫(以下、鍋島) 奥山さんはそういうところの決断は早いんですよ。深作さんがないっていうときは、武さん監督しかないだろうという。今でも忘れない四ツ谷の寿司屋の2階に呼んで、当時森さんもいて。奥山さんが「鍋ちゃん、どうする?」と言うから、こっちはもう腹も決まっていて「いきまし