ジャレド・ダイアモンド氏(82)の名を一躍、世界に知らしめたのは、ピューリッツァー賞を受賞した著書『銃・病原菌・鉄』(草思社)だった。さまざまな資料を駆使して「西洋が経済的に優位に立ったのは、人種の優劣ではなく地理的な要因だ」と喝破し、「ヨーロッパ人は優秀」という人種差別的な偏見に反論する内容で世界的なベストセラーとなった。ダイアモンド氏は、ハーバード大学で生物学、ケンブリッジ大学で生理学を修めたあと、進化生物学、鳥類学、人類生態学へと研究領域を広げた。複数の言語を操り、パプアニューギニアでの長年のフィールドワークを続けるなど、学際的な研究で得た独自の視座による著作はいずれも世界的に高い評価を得ている。 最新刊は『危機と人類』(日本経済新聞出版社)。これまで国家がいかにして危機を乗り越えたのかを幅広い事例で検証し、今、人類が直面する危機にどう立ち向かうべきかについての示唆に富む1冊だ。 世