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簡素な道具だけを背負い、食料を現地調達し、人跡のないルートから山に登る。 サバイバル登山家の服部文祥は、より深く山に向き合えるスタイルを模索し続けてきた。 探究の末に登山の先で出会ったのは、現代版の狩猟採集生活。 都市に生まれ、高峰に命を懸けた登山家が見出した 古くて新しいライフスタイルとは。 登山家52歳、山中に庵を結ぶ 「サバイバル登山について聞きたい。そして、できれば猟の模様も見せてほしい」そうお願いすると、服部は某県の山深い沢を集合場所に指定した。教えられた場所に続くのは、4輪駆動車でも乗り入れるのを躊躇する狭い林道だった。もう通る人もいないのか、道には厚く落ち葉が積もり、轍もない。入る沢を間違えたのではないかと心配になったころ、森が切れてぽかりと空が開けた。そこが、服部が手に入れた廃集落、小蕗だった。 「できるなら車は集落の外に停めてほしい。資源を使い過ぎる道具は、ここには持ち込
服部文祥さんの新刊! “生きるとはなにか生命とはなにかを探求する書評集”『You are what you read. あなたは読んだものに他ならない』の「はじめに」を大公開! 「本の雑誌」の人気連載「サバイバルな書物」が待望の単行本に! サバイバル登山家として有名な服部文祥さんが、“生命の存在理由や生きる意味を、卓越した言語表現の中に探”してきた書評集。探検記や山岳書、狩猟本はもちろん、サイエンス・ノンフィクションや人文書、そして小説や絵本など様々なジャンルから「生きる」ということの本質を探します。 はじめに 一個一四円の卵から考える 食と読から作られる我 ニワトリを飼っている。日中は庭に放し、エサは残飯。庭で虫や草を勝手に食べるものの、七羽もいる(最多時には十一羽いた)ので、家族の残飯だけではエサが足りず、農協から購入した配合飼料もやっている。 はじめて配合飼料を手にしたとき、ふと「こ
装備や食糧をできるだけ持たずに、長期間単独で山を歩く“サバイバル登山”という独自の登山スタイルを30代で確立し、実践してきた登山家の服部文祥さん。 “自分の力”で自然の中を生き抜くことにこだわり、やがて狩猟や、廃村での自給自足の生活に辿り着いた登山家は、“生きる”ことをどう捉えているのか。心身のパフォーマンスを保つために大切にしている時間とは何か。 その思想と実践、そして現在地について聞いた。 意外に「めんどくさい」裏山のタケノコ掘り斜面に建つ自宅の庭から、細い道を歩いて裏山の竹林に入っていく。 「ここに隠しておいたんだ」という鍬(くわ)を手に持った服部文祥さんは、竹林をざっと見渡し、地面からちょこんと頭を出した竹の新芽を次々と見つけていく。 「こんな都会の街なかにも、食えるもんがけっこうあるんだよね。この時期ならタケノコ、フキ、ノビルとかさ」 タケノコを壊さないように周りの土を掘ってから
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