動物愛護団体は自治体に対し、苦痛を伴わないように「安楽死」を要請しているが、設備があるのは、主要都市では山口県下関市だけだ。設備が高額なこともあって財政難に苦しむ自治体では「余裕がない」との声が強く、識者は引き取り手の確保などの対策を訴えている。 「人の都合で手放された動物を苦しませるわけにはいかない」。下関市動物愛護管理センターの藤永真善美センター長は強調する。 市は3年前、約8億2000万円かけて、「安楽死」の設備を取り入れたセンターを建設した。人の手術で使う麻酔薬のガスを密閉空間で吸引させるもので、2011年度は犬や猫計1388匹を処分した。年間の処分費用は苦痛を伴うとされる「炭酸ガスによる窒息死」に比べ3倍の約700万円かかるという。 環境省によると、全国の処分数は10年度、計約20万4700匹だったが、NPO法人「地球生物会議」ALIVE(東京)が10年、処分にあたる都道府県、政