ニューアルバムのタイトルは「DocumentaLy」。時代の空気を、声を、色を、ダイナミックに体現できる立ち位置にいるロックバンドとして、サカナクションは、自分たちが音楽に向かう生き様を徹底的に浮き彫りにする=ドキュメントすることを選んだ。必然的にフロントマン・山口一郎(Vo, G)のソングライティングは格段に生々しいものになり、気高い戦略性に裏打ちされたサウンドは、よりディープなものになっている。 本作から浮かび上がる独自かつ深淵なポピュラリティとはつまり、この時代を生きる人々の息づかいに等しい。山口一郎にその信念を聞いた。 取材・文 / 三宅正一 ──今作は、ギリギリまで制作してましたね。 まだ完成して1週間経ってないですからね(※取材は9月上旬に実施)。だから正直に言うと、まだどんなアルバムなのか自分でも把握できていなくて。でも、ドキュメンタリーというひとつのテーマを掲げて制作に臨ん