映画「コクリコ坂から」も公開されました。しかし、監督の宮崎吾朗さんの話がまだでした。 吾朗監督は本当にかわいそうなひとなのです。偉大な父親は家にはいなくて、ほとんど会わずに育ったといいます。父親のことは作品でしか知らないのに、まわりからは宮崎駿の息子としてみられる人生。そういう環境で育った人間がどうなるか。 吾朗さんは一流の皮肉屋になったのです。吾朗さんの宮崎駿さんや他のひとへの皮肉はとても鋭く面白いです。でも皮肉は言っても悪口はなかなか言わないんですよねえ。ぼくは対談で何度も宮崎駿さんと鈴木敏夫さんの悪口を言わせようとしましたけど、失敗しました。 そしてもうひとつ。まわりへの皮肉は言っても、自分の境遇への不満や文句は言わないんですよ。自分の与えられた運命は受け入れている。覚悟をしているのです。わがままな父親をはねのけて映画をつくるのは自分の使命だ、と。ジブリ美術館も吾朗さんじゃなきゃ完成