ナイチンゲールについて、書く、書くといいながら、ずっと先送りになってきた。 その理由のひとつは、これを機会にいろいろ調べる必要があることが連鎖反応的に出てきたからである。 結局、公衆衛生学の歴史から細菌学黎明期の歴史までいろいろ調べる必要が出てきた。 しかしの記事は、その「前編」として、スモール著「ナイチンゲールの神話と真実」(田中京子訳 みすず書房)のおおよその紹介としたい。 「後編」は、ナイチンゲール自身の「看護覚え書き」の時代的限界と、それにもかかわらず今日にも通じる、公衆衛生学、細菌学、薬との兼ね合いの問題について述べる予定である。 ナイチンゲールがクリミア戦争(1854-6)に従軍して、コンスタンチノープル近郊のスカタリ(スクタリ)の病院で、史上初の「修道女ではない看護婦の一団」を統率し、クリミア半島の最前線から次々送られてくる数多くの傷病兵を看護したことは、戦争中からイギリス本
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