◇作家・辻村深月さんと小説「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」舞台の山梨を歩く 悩み多き30歳前後の「地方女子」の実態を、作家の辻村深月さん(29)が小説「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」(講談社)でリアルに描いた。舞台は山梨県。フィクションではあるが、山梨出身の同年代の記者としては人ごととは思えない。女性たちが抱える「息苦しさ」とは? 辻村さんと山梨を訪れた。【山寺香・31歳】 JR新宿駅から山梨の県庁所在地・甲府市までは、特急あずさに乗るとちょうど1時間半だ。都心への通勤も可能だ。辻村さんは「途中を山に阻まれているからでしょうか。物理的には近いけど、心理的には遠い東京」と表現する。東京から近くて遠いゆえの「格差」がある。 山梨出身の辻村さんは千葉大を卒業後に地元に戻り、昨年まで事務員として働いた。 「女性が自由になったといっても、それは一部の都会の話。それ以外の地域では、結婚しないなんて選択肢はあり