生物や植物の構造を製品開発に取り入れる「生物模倣技術」と呼ばれる手法が、自動車や電機各社で成果をあげ始めた。背景には、1メートルの10億分の1という極小の世界を再現する「ナノテクノロジー」の進化があり、“モデル”が実在するため開発期間を短くしやすいのも特徴だ。厳しい自然淘汰(とうた)のなかで進化してきた生物の形状は完成度が高く、扇風機の羽根や掃除機のスクリューなど家電製品のほか、自動車部品などへの応用も広がっている。(中山玲子) 日東電工が今年2月、実用化を発表したのは、ヤモリの足の裏をヒントにした粘着テープだ。ヤモリの足裏には細かな毛が密集し、さらに一本一本の毛の先端が100〜千本にも分かれる。この構造でヤモリは壁や天井から落ちることなく自由に歩き回れる。この構造を模倣することで、同社は、どんな特殊な環境でも強力に接着する一方、簡単にはがせる粘着テープを開発した。担当者は「自然は偉大な