木材や農業廃棄物などさまざまな生物資源を利用する「バイオマスエネルギー」。この問題に詳しい熊崎実(くまざき・みのる)・筑波大名誉教授は「日本の森林に眠っている大量の森林資源の活用を本格的に進めるべきだ」と指摘する。 ―バイオマスエネルギーとは。 「家庭や農業からの廃棄物などもあるが、資源的に最も豊かなのは、木質バイオマスと呼ばれる木材資源だ。日本でもかつては薪や木炭などの形で大量のバイオマスを利用していた。発展途上国では今も大量のバイオマスエネルギーが使われている」 ―先進国では効率が悪いなどとして使われなくなったのではないか。 「単に燃やすだけなら効率は悪いが、欧州を中心に利用の高度化が進んでいる。発電だけならエネルギーの利用効率はせいぜい30%だが、発電と同時に発生する熱を冷暖房や給湯に利用するコージェネレーション(熱電併給)にバイオマス資源を利用すれば、エネルギーの利用効率を90%